マガジンのカバー画像

16
運営しているクリエイター

#note

3. 花火

3. 花火

音は消え 灯は消え
地に火が降り 海に星降る

へその緒は切れ
皮膚は未だ溶け合うことを知らず
ひとは孤独な部屋をなだめて眠る

道を示す者さえ諦めた土地で
これからも生きるのだろうか
汚れた自分はどうすれば
伸ばされた手も 後ろめたい

夢の中でも私はうなされている
渦巻く罪悪感に出口はない
時折よみがえるのは母の記憶
甘く満たされていた香りの記憶
ごめんなさいと 今さら思う

汚れた私は何者

もっとみる
1. 祝福

1. 祝福

真っ白な部屋に光が差す

私たちはきっと大丈夫
さみしさのなかで
混沌をいきてきた
長かった
ずっと 怖かった

遠くの窓にあかりが灯る
つかれた帰路を 急ぐ人を見る

道を示す
ここに勇気があるよと
みんなが気がつくように
道しるべをつくる
あなたと私の間に美しい星空を敷こう
きっと大丈夫だからね

ひるのひ

ひるのひ

こぎれいにして まちをあるく昼下がり
ひるの日と影をみつめる
前をあるく女のひとからいい香り
歩道橋をおりたら排気ガスのにおい
日焼け止めを塗ったのに首をきにする

おとしものが帰ってきた

光、再考 2

光、再考 2



かみさまの葬式には行けなかった。大人たちが場所を教えてくれなかった。わたしはひとりで冷たい床に横になり、星を数え、あの星に花は咲くのだろうか、猫はいるのだろうか、どの星と仲が良いのだろう、かみさまはあの星を何日かけて作ったのだろう、と毎晩思いを巡らせた。教えてくれるひとがいないので、自分の好きな答えをつくった。

そうして7日も過ごしているとだんだん現実と区別がつかなくなってきた。一旦脳みそ

もっとみる