見出し画像

映画「マンホール」観ました

映画「マンホール」観ました。
まず普通の方は観ない方がいいです(笑)
嘔吐物ヘドロの描写のオンパレードが本気なので。

しかし、私はこれは演劇的な作品だと思いました。
そう考えると実験的でよく出来ています。
安っぽい訳でもない。

不条理演劇的だと考えると、
襲ってくる謎の兄弟も演劇的キャラクターで、
正体はどうでもいいんです。
象徴みたいなものだから。

夢の中で喋る死体、
物語の展開が有り得ない事も不条理物だから
(フランス映画的ともいえる)。

そもそも下水道を冒険する訳でもなく、
主人公はずっと密閉空間に閉じ込められて、
その部屋だけで物語が進みます(これも演劇的)。

重要なのは汚物嘔吐物排泄物の表現が
特別に強調されている事で、
これはヨーロッパ芸術では
一分野として古くからあります
(スペインの詩人ゴンゴラの糞川の詩とか、
カタルーニャのカガネル人形とか一例)

フランスではメルド(糞尿)などと呼ばれ、
人間が誰でも避けて通れない排泄物を
[綺麗な面をしている社会への痛烈な皮肉]
として描くのです。

この作品はそれを映画的に挑戦したもので、
この世の最も惨めな場所を映し出す事
(一種のヴァニタス的な)、
汚泥の世界の酷い描写の限界を撮る事が狙いなのでしょう。

主人公が徐々に魔物に変貌していくメイクは
「マタンゴ」そっくりなので、
B級モンスターマニアの人達が好きそうだな・・とも思いました。

という訳で、
映画「マンホール」は、演劇マニア向きであり、
ホラーとして観る事に無理があるのですが、
なのに、さらに血のグロい描写がある為、
ホラー耐性も必要で、
さらに汚い描写もあるので、
かなり人を選ぶ作品なのは確かですね(汗)





自作の詩による詩集「沼地の聖書」(ハードカバーによる分厚い豪華本を予定)を出版する為のサポートを募集しております。ぜひ、よろしくお願いします!!いただいたサポートは詩集の費用にさせていただきます。