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食事は生きる力です

最近思うことがある。きちんとした食事を摂ることと、生命エネルギーがあふれている状態というのは、必要十分条件のような関係なのではないか。

元気がないと、きちんと食べることができない。
また、食べないと、元気も出ない。つまり、2種の対偶から、必要十分条件なのではないかと思うわけだ。(数学にはとんと触れない生活を送っているので、間違っていたらすみません。)

そう唐突に思ったわけではなく、ある漫画にはまってしまったのが、考えたきっかけだった。もちろん日々の生活としての実感が根底にあるが。

「舞妓さんちのまかないさん」小山愛子

ここは京都のど真ん中にある花街
舞妓さんたちが共同生活を営む「屋形」と呼ばれるおうち。
ある屋形で「まかないさん」として舞妓さんたちに
毎日の食事を作っている少女・キヨは16歳。花街の舞台裏。
ふつうの日のごはんを通しあたたかな人間模様を描く台所物語。
「舞妓さんちのまかないさん」1巻 裏表紙のあらすじより

なんのことはない、最近はやりのゆったりお料理漫画なのだが、まず出てくるお料理が良い。

自分でも簡単に作れそうな舌になじんだものから、青森(キヨちゃんの出身地です)の郷土のものまで。

そして、食べる人の笑顔がいい。作り手のキヨちゃんが、それを見て心底嬉しそうな顔をするのもいい。

さらにさらに、キヨちゃんの幼馴染で一緒に舞妓さんになるべく上京してきたすーちゃんの頑張りも大変いい。つい自分自身の課題も、「頑張るか!」と思わせられるひたむきさである。

そして、普段まったく身近にない花街という文化で生きる人たちの生活や、仕事に対する思いもしっかり描かれていることが良い。漫画の良いところは、自分にとっての非日常を、視覚的にわかりやすく体感させてくれるところが一つにあると思っているが、まさにこの漫画はその側面が優れていると思う。

と、だらだらとおすすめポイントを挙げてきたわけだが、やはり、私のこの漫画の一番のお気に入りポイントは、食事の大切さを教えてくれるところである。

キヨちゃんは、屋形のみんなが元気に、幸せに花街の花としていきられるように、毎日3度の食事を作る。たまにはお菓子やお夜食も。

特別な行事で疲れがたまる日には、すっきりするレモネード。気張らなければならない大切な日にはがっつりした食事を。眠れない夜には温まるラーメンを。

相手の状態や心境を考えて、より良くなりますように、と用意した食事で、相手が笑顔になる。相手を思う気持ちと、食べ物の持つ力が組み合わさって、ほっこり温かい気持ちと元気な体になる。

うちにキヨちゃんのような人はいないし、というか、誰も作ってくれる人がいなくても、逆に誰もつくってあげたい相手がいなくても、これは自分が一人の時でも応用可能だな、と思う。

幽体離脱でもするように、いったん立ち止まって、自分の今の状況を把握する。そして、今の自分に足りない物を考える。それは、単にたんぱく質やビタミンだったり、温かさだったり、がつんと効くスパイスだったりいろいろだ。
そして今の自分にできる努力で、食事を用意して、ゆっくり向き合って食べる。たまにはかきこまないといけないときもあるだろうけれど。

毎日目まぐるしく過ごしていたり、ストレスの多い生活をしていると、つい自分自身にしか直結しないような食事のことがおろそかになってしまったりする。

結局は食べたものが私を作るので、食事をおろそかにすると生活や自分自身がすさんでいく。わかってはいるのだけれど、と思いながらついついいつもやってしまう。

そんな私に、キヨちゃんが「まぁまぁ」と言いながら熱い紅茶を入れてくれたような気分になる読後感だった。続きを心待ちにしている。

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