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3か月たっても忘れてない

すごく久しぶりに、私のためだけの文章を書く。
3ヵ月ぶりにブラウザで開いたnoteはもちろんログアウトされていたけど、パスワードはしっかり覚えていた。書くことから離れたくない私の気持ちが、パスワードをしっかり長期記憶の棚に保存してくれたらしい。

このnoteの「記事をかく」活動はまだ続いていて、ここからさらに3本の文章をかいた。何か一つのものを誰かと作り上げるのはすごく大変な事だった。もう大人だから、大きく衝突することはなかったけれど、冷戦みたいな衝突の仕方をしたり、「小学生みたいな文章」と言われたりして、文章を書くことが怖くなった。それでなくとも特にとりえのない人間なのに、好きでやってる「文章をかく」ことに対して、そんないい方しなくて良いじゃないかと思ったけど、他人の正直な評価をきくことはとても大事なことで。自分一人ではなくて他の人と一緒に作っているわけだから、人に評価してもらってフィードバックすることは本当に大切なことだ。

そこを「傷つくから」と言って、避けることはできないし、したくなかったけれど、怖くて、しんどくて、文章を書くことがすごく嫌だった。

今は新しい企画が始まったばかりで少し余裕があって、ふとnoteを開いたら書ける気がした。書きたい気がした。


この前大学の友達と飲んだ時に、「卒業してからもちゃんと連絡を取り合って会いたい友達は誰?」という話になった。割と真剣に、じっと口を閉ざして考えて、私が答える番になってひねり出した答えは「いないかも」だった。

誰のことも嫌いすぎることはないけれど適度に嫌いで、好きなところはあるけれど、好きすぎることはない。これくらいの人ならならきっとこの先も出会えると思っている。もちろんその人にしかない良さはあると思っているけど、大学で出会ったひとびとの良さは、私が渇望する良さではない。

その飲みの場では、私以外の3人は互いの名前を出し合って、すごく消えたくなった。今思い出しても残酷な気がする。ま、それはいいとして、今どうしても死んでほしくない、死なれるとこの先の人生めちゃくちゃ困るわ、って思う人、家族以外で2人くらいしかいないな、と本気で思って、今まで人生で関わったと思っていた人とは、本当は関わっていなかったのかなと空しい気持ちになった。

「卒業しても連絡を取り合いたい人」って「今どうしても死んでほしくない、死なれるとこの先の人生めちゃくちゃ困るわって人」ってほどではなくて、自分が深く考えすぎてたのかとも思うけど、「卒業しても連絡を取り合いたい人」に誰かから選んでもらえるような気もしない。それは100%自分が生んだ結果で、悲しいけれど、どうしたらよかったのか、どうしてその方法を今の今まで学んでこられなかったのか、そればかり考えている。責任転嫁の予感がするいいまわしだ。結局答えにはたどり着けないだろう。


今は中国SFが流行っているんだよ」と教えてもらって、ケン・リュウの『紙の動物園』を読んだ。これまでいろいろなところで出会ってきた「普遍的な辛さ」を詰め込んだような本だった。

SFとしての設定や展開に関しては、SFという分野にあかるくないので、こんな感じかと特に感慨もなく読んでいたけれど、とにかくつらかった。こんなのみんなつらいだろ。苦しいだろ。

理不尽すぎること、思い届かず手遅れになってしまうこと、どうしようもできないこと。あーしんどいね。こういう本を読んで、「しんどい」「つらい」「親に優しくしよう」「大事な人の変化に気づこう」くらいしか思えない。陳腐だね。陳腐とかって、自分の思考力のなさをカバーしきれない表現。

もっと優しいものが読みたくて、読んだ。

穂村さんのエッセイはとてもやさしい。情報量が少ない。ひとつの小さな、たまに大きな出来事に対して、感情の針が振れたことを優しく丁寧に書いている。

でも、この本は少し違った。取り上げられる日常の出来事がいやに怖い。衝撃的なホラーでは決してないんだけれど、3日くらいは忘れられなくて、話題がふと途切れたら、全く関係のない人にも言いたくなるような。自分だけでもっておくには少し怖さが過剰な話。
でもやっぱり優しいから、するする読んだ。忘れたころにまたするすると読んで、「怖い怖い」って思っている気がする。これはそういう、少し透明度の高い本だ。すぐ忘れられる。


本と言えば、本が好きな友人が、友人だと思っていたけれど向こうはそうは思っていないかもしれない人が、いきなり人がかわったように怖くなってしまった。私だけではなく、周りの他の人もそう言っている。先週の中頃くらいからのこと。家庭の事情か何かがあったようなのだが、それにしても気落ちしているとか、つらそう、とかだと想像がついて許容もできるんだけれど、手負いの熊みたいに攻撃的でとげとげしくなっていて、つい自分もとげとげしくなって、身を守ろうとしてしまう。

これまで優しかった人が急に怖い人になるのって、本当にすごく衝撃的で、この1年くらいで築いてきたと思っていた信頼や友人意識が剥がれ落ちていくのを感じている。
素敵な本屋さんをたくさん紹介してくれて、本や漫画を勧めるとすぐに入手して感想をきかせてくれる、すごく素敵な人だし、良い関係性を築けていると思っていたのに。違ったのか。
それとも今の私の対応の仕方が間違っているのか。もっと良い対応の仕方はあるような気がする。本当は優しくしたい。難しい。

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