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ごはんのあげ方

はじめに

前回の「ペットフード基本の『き』」では、前編・後編にわけて、ペットフードの選び方の基本について解説しました。
(前回の記事は → 前編 後編

ねこさん・わんちゃんにあげるフードは決まったものの、
「給与表のとおりにあげてるんだけど、本当にこの量であってるの?」
「1日何回くらいに分ければいいの?」
といった疑問や不安をお持ちの飼い主さんが少なくありません。
そこで今回は、ペットフードのあげ方の基本について解説していきます。

今回もおもに、毎日のごはん(主食)として、ねこさん・わんちゃんにあげるフードのあげ方を解説します。


給与表を見てみましょう

ペットフードをねこさん・わんちゃんにあげるときには、まずフードのパッケージをよく見てください。
きっと、どこかに「給与方法」が書いてあるはずです。
(これも、ペットフード協会の会員になっている会社の製品には、かならずどこかに書かれています。)

ウェットフードなど小さなパッケージの製品の場合、表示スペースの関係で、すごく大ざっぱに書かれていることもありますが、考え方はこれから解説する内容をそのまま当てはめてもらえば大丈夫です。

ドライフードであれば、下の図のような給与表が書いてあると思います。
もちろん、製品によって書き方は違っていて、例えば、体重が1kgきざみでなかったり、「〇kg~△kg」のように幅があることもあります。
体重の書き方によって給与量の書き方もそれぞれです。
でも、どんな給与表でも考え方は同じですから安心してください。

それでは、上の表を使って、給与表の見かたを説明します。

例えば、ねこさん・わんちゃんの体重が5kgだとします。
給与表をみると「85g」となっていますね。
これは図にも書いてあるとおり「1日あたり」のごはんの量です。

1回あたりではありません、念のため。
1日に何回あげるかは、ねこさん・わんちゃんによって違いますから、1回あたりでは書けないんですね。
おやつやサプリメントなどでは「1回〇g 1日1~3回」といった書き方の場合もあります。


あげる量を調整しましょう

給与表から、体重が5kgの子の1日の給与量は85gであることがわかりました。
でも、ここで大切なのは、欄外に(多くの場合、小さく)書かれている、「※この給与量は目安です。個体差などに応じて調整してください。」という言葉です。
(もちろんフードによって書き方はさまざまですが、同じような意味のことが書かれているはずです。

これは、「『体重が5kgの子は1日85g』なんだけど、これは『目安』だから、日によって83gだったり、87gだったりしても、だいたい85gならいいんだよね」という意味ではありません。

「目安」というのは、「平均的な体重5kgの子、なら85g」という意味です。
もっとくわしく言うと、
「同じ体重が5kgの子でも、たくさん運動している子もいれば、ほとんど動かない子もいるよね。そうすると必要な量はそれぞれの子で違って、85gがちょうどいい量かどうかわからないから、うまいことちょうどいい量に調節してね。」
という意味です。

では「ちょうどいい量」に調節するにはどうすればいいでしょう。
いや、そもそも「ちょうどいい量」ってどれくらいの量なのでしょう?

「ちょうどいい量」というのは、ねこさん・わんちゃんが太ったりやせたりせずに、「体重をキープできる量」のことです。


給与表どおりにあげてはいけない!?

まじめな飼い主さんの中には、毎日きっちりと給与表どおりにフードを計ってあげている人もいるかもしれません。
でも、ねこさん・わんちゃんが、かならずしも平均どおりとはかぎりませんから、給与表に書かれている量が「ちょうどいい量」であることのほうが珍しいくらいです。
むしろ基本的には、「給与表どおりにあげるものではない」と思っておいてください。

「給与表に書かれているとおりにあげているのだから、ちょうどいい量のはず。だから体重がキープできるはず」とは考えないでください。

実際にペットフード会社にいたときに、「給与表どおりにあげているのに、うちの子が太ってしまった(あるいは、やせてしまった)。給与表がまちがっているのでは?」というお問い合わせを受けたことがあります。

もちろん給与表が間違っているわけではありません。強いて言えば、給与表の使い方を間違っている、ということになります。

「ちょうどいい量」つまり「体重をキープできる量」というのは、給与表とは関係なく、それぞれのねこさん・わんちゃんによって決まります。
先ほども書いたように、同じ体重でも、それぞれのねこさん・わんちゃんで運動している量も違うし、基礎代謝量も違います。
ということは、1日に必要なエネルギーも、それぞれのねこさん・わんちゃんで違うわけです。
ですから給与表には、あくまでも「平均の量」しか書きようがないんです。


給与表の上手な使い方

「だったら何のために給与表があるの?」と思った人もいるかもしれませんね。
ちょうどいい量は給与表とは無関係に決まる、と先ほど書きましたが、そうは言っても、何の手がかりもなしに、ねこさん・わんちゃんにちょうどいい量を見つけることはできません。

つまり、給与表はちょうどいい量を見つけるための「最初の手がかり」だと思ってください。

では、実際に「ちょうどいい量」を見つける方法をお話します。

  1. ねこさん・わんちゃんの体重を確認する

  2. 給与表を見て、あなたのねこさん・わんちゃんの体重のところに書いてある量をあげる

  3. 2週間くらいその量をあげて、ねこさん・わんちゃんの体重を確認する

2週間後も体重がキープできていれば、その量(給与表どおりの量)が「ちょうどいい量」ですから、そのまま続けて、ときどき体重を確認してください。

2週間後に体重が増えているようなら、1割くらい量を減らして、その量を2週間くらいあげてください。
逆に、2週間後に体重が減っているようなら、1割くらい量を増やして、その量を2週間くらいあげてください。

そしてまた2週間後に体重を確認して、体重がキープできるようになるまで、これを繰り返してください。

たったこれだけです。簡単でしょ?

実を言うと、2週間後の体重確認で体重が増えていた、あるいは減っていた場合、「体重がキープできている」とは、どの体重がキープできていればいいのか、という問題があります。

例えば、もともと体重が5kgの子が、2週間後に5.1kgになっていたとします。そしてフードを1割減らして2週間後にまた体重を確認したら、5.1kgのままだった場合、それがちょうどいい量なのか?ということです。

厳密に言えば、さらにもう少しフードを減らして、体重がもとの5kgにもどったら、今度は少しだけフードを増やして、5kgをキープできる量にする、というのが理想的です。

給与表どおりの量をあげて体重が減ってしまった場合も同様です。


「ちょうどいい量」を見つけるときの注意点

ただし、このときに注意してもらいたいことが2つあります。

ひとつめは、ちょうどいい量が見つかるまでは、おやつはがまんするようにしてください。日によって違うおやつをあげていたり、おやつをあげる量が違っていたりすると、いつまでたってもちょうどいい量が見つかりません。
だからといって、毎日同じおやつを同じ量あげればいい、というものでもありません。

おやつをあげるなら、まずフードのちょうどいい量を見つけてから、今度はおやつをあげたぶん(カロリー)だけ、フードを減らして体重を確認するようにしてあげてください。

ふたつめが、盲点になりやすいのですが、ねこさん・わんちゃんのいまの体重(体型)が、ちょうどいい体重(体型)なのかどうかを確認するようにしてください。

体型については、またの機会にくわしく解説しますね。

そもそもいまの体重がポッチャリ体型の体重だったら、給与表でその体重のところを見てフードをあげると、もうすでにあげ過ぎです。

動物病院などで、ねこさん・わんちゃんがちょうどいい体重(体型)かどうかを、もしそうでなかったらどうすればいいのかを、相談してみてください。


1日に何回あげればいいの?

これは、とくに何回でないといけないというのはありませんから、1日の量がちょうどよければ、ねこさん・わんちゃん、あるいは飼い主さんの都合に合わせて、あげる回数を決めて大丈夫です。

目安としては、ねこさんなら1日数回、わんちゃんなら1日2~3回が一般的です。
また、1回の量を少しずつにして、回数を多めにしたほうが太りにくいとされています。

何回にもわけてフードをあげるなら、下の画像のような容器に1日分を計って入れておいて、そこから少しずつあげるようにすると、何度も計る手間をはぶくことができて、簡単に1日の量も守ることができます。

このような容器に1日分を計って入れておけば楽チン!


子猫・子犬はどうすればいい?

子猫や子犬の場合は、体重がどんどん増えていきますから、体重を確認しながらちょうどいい量を決めることができません。

基本的には給与表どおりにあげて、体重ではなく体型を確認するようにしてください。胸の部分をさわって、あばら骨がギリギリさわれるくらいがちょうどいい体型です。(これは子猫・子犬の場合です。おとなのねこさん・わんちゃんが、あばら骨がギリギリさわれるくらいだと、ポッチャリ体型です。)

ただ、子猫・子犬用フードの給与表の書き方は、ペットフード会社によって違っています。
いまの月齢と体重で見るようになっていたり、いまの月齢とおとなになったときの体重で見るようになっていたり、とさまざまです。
給与表を見てもよくわからないときは、遠慮せずにペットフード会社に問合せてください。

あげる回数は、1日に最低でも3~4回に分けるようにしてください。
子猫・子犬は体重あたりで考えると、おとなのねこさん・わんちゃんよりもたくさん食べることになります。それにもかかわらず、胃や腸などの消化器はまだ成長の途中ですから、1回あたりの量を少なくしてあげないと、おなかに負担がかかる恐れがあります。

とくに、大型の品種の子猫・子犬の場合、1日7~8回くらいに分けてあげないと、うんちがゆるくなってしまう子がいます。

なぜなのか、わんちゃんを例に説明しますね。

小型犬は8~10カ月でおとなになりますが、大型犬ではおとなになるまで18~24カ月かかります。ですから、例えば同じ「生後4カ月」でも、小型犬の4カ月と大型犬の4カ月では大きく違います。
小型犬だと子犬の時期の半分くらいになっていますが、大型犬だと4分の1にもなっていません。
そのわりに、相当な量のフードを食べることになりますから、1日3~4回に分けても、1回ずつが食べすぎになってしまうのです。


子猫・子犬が急にフードを食べる量が減ることも

子猫・子犬があるていど成長すると、急にフードを食べる量が減って、あげたフードを残すようになることがあります。
同じフードに飽きてしまったのだろう、と思う人が多いのですが、フードに飽きたわけではないことがほとんどです。

子猫・子犬はずっと同じペースで成長しているわけではなく、最初の2~4カ月は成長のペースが速く、それ以降は成長のペースがゆるやかになります。
成長のペースがゆるやかになると、それに合わせて食べる量が少なくなるのです。

食べる量が減っても、体重が少しずつ増えていれば、とくに気にする必要はありません。
ただ、食べる量が極端に少なくなったり、体重が減ったりしたときは、まず動物病院に相談してください。そして体にとくに異常がなければ、違うフードに変えることを検討してみてもいいと思います。


この記事を参考に、あなたのねこさん・わんちゃんにとっての「ちょうどいい量」を見つけて、ねこさん・わんちゃんの健康に役立ててください!


今回のまとめ

  • 給与表どおりの量が「ちょうどいい量」とはかぎらない

  • 給与表は「ちょうどいい量」を見つけるための最初の手がかり

  • 給与表を上手に使って「ちょうどいい量」をみつける

  • 「おやつ」と「いまの体型」には要注意

  • 1日にあげる量を守っていれば、回数に決まりはない

  • 子猫・子犬は給与表の見かた、1日の回数に注意が必要
    (とくに大型の品種)

  • 子猫・子犬が急にフードを食べる量が減ることもある


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