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ペットフードの選び方 後編

後編のはじめに

今回は「ペットフード基本の『き』 ペットフードの選び方」の後編です。

前編では「総合栄養食」について詳しく解説しています。
「まだ前編を読んでいない」という方や、「前編の内容を忘れてしまった」という方は、こちらから前編をご覧ください。


「一般食」には要注意!(前編からの続き)

いささかまぎらわしいのですが、「一般食」は「総合栄養食」とは別物ですから注意してください。

「一般食」と聞くと、「一般的な食べ物なんだから、これだけをあげていてもいいんだよね」と思う飼い主さんもいるかもしれません。でも前編で書いたように、一般食は総合栄養食ではなく「その他の目的食」に分類されます。「一般食(副食・おかずタイプ)」と書かれたものは、おいしさを高める目的で、総合栄養食とまぜたりトッピングしたりして使うものですから、これだけでは、ねこさん・わんちゃんに必要な栄養をじゅうぶんにとることができません。

とくにねこさん用のウェットフードの中には「一般食」が多くあります。これはウエットフードを総合栄養食にするためにはビタミンやミネラルなどを追加(添加)して栄養バランスを整える必要があるのですが、一部のビタミンやミネラルには苦みなどがあるため、これらを追加(添加)すると、ねこさんの口に合わなくなることがあるためです。そこで、ねこさんが食べてくれることを優先して、結果的に「一般食」になっているものが多いようです。

このことに注意して、ねこさんのウェットフードを選ぶときには、ごはん(主食)としてあげるなら、必ず「総合栄養食」を選んでください
もちろん、総合栄養食にトッピングするためのフードとして選ぶのなら、一般食でまったく問題ありません。
ただし、ごはん(主食)よりもトッピングのほうが多くならないように気をつけてください。目安としては、トッピングは1日のカロリーのうち「20%ぶん以内」になるようにします。

念のために書いておきますが、「1日のカロリーの20%ぶん以内」というのは、その分だけ「ごはん(主食)を減らす」ということです。
「1日ぶんのごはん(主食)+20%ぶん以内」ではありませんよ。


で、どのフードを選べばいいの?

では、おさらいも含めて「ペットフードの選び方の基本の『き』」をまとめておきます。

1.「総合栄養食」を選ぶ

いま販売されているペットフードのほとんどが「総合栄養食」です。ただ、ペットフードの一部には「間食(おやつ)」や「療法食」、「一般食」がありますので、からなず「総合栄養食」であることを確認してください。

それに加えてここまで書いてきたように、オールステージのフードなどの中には、あなたのねこさん・わんちゃんに”じつは合っていない総合栄養食”もありますので、その点は注意してください。

それともうひとつお伝えしておきます。

ねこさん・わんちゃんのごはん(主食)として総合栄養食をあげていれば、(まず)栄養不足になることはありません。
ただ、だからといって「ごはんとして総合栄養食をあげていれば、それだけでOKです」とは、かならずしも言えないことも事実です。総合栄養食の基準は、一部の栄養素を除いて、最小限の量についてのガイドラインです。ねこさん・わんちゃんの個体差や健康状態によっては、最小限の量では十分でないこともあり得ます。
例えば、「毛がゴワゴワしている」や、「毛ヅヤがイマイチかも」と感じる場合は、いまあげているフードと比べて、タンパク質や脂肪が多いフードをあげたほうがもっと健康になれることもあります。
毛の状態や毛ヅヤなどが気になったときは、ペットショップや動物病院などに相談してみてください。

上で、「総合栄養食をあげていれば、(まず)栄養不足になることはありません」と、(かっこ)付きで、「(まず)」と書いたのは、ねこさん・わんちゃんの状態によっては、あくまでも可能性としてですが、「”絶対に”栄養不足になることはありません」と言い切ってしまうのは無責任だと思うからです。
とはいうものの、万一、総合栄養食をあげていて栄養不足による症状が現れた場合は、フードに問題があると考えるよりも、何らかの病気を疑うほうが現実的です。


2.あげ続けられるフードを選ぶ

頻繁にフードを変えるよりも、ねこさん・わんちゃんの体に合ったものを長く続けるほうが、長い目でみると、ねこさん・わんちゃんの健康を保つことにつながります。

同じフードを続けたからといって、とくに食物アレルギーになりやすいわけではありませんから安心してください。
同じフードを使い続けるメリットや食物アレルギーについては、また別の機会に詳しく解説します。

そういう意味ではある程度メジャーな製品のほうが安定的に入手することができるかと思います。

そして、使い続けるにあたって、ひとつの目安になるものが価格です。
ご存知のように、ペットフードの価格はそれこそ「ピンからキリまで」あります。もちろん、ねこさん・わんちゃんに合ってさえいれば、必ずしも価格の高いフードを選ぶ必要はありません。

ただ、フードが本当にあなたのねこさん・わんちゃん合っているかどうかを判断するのは簡単ではありません。
それについては「ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師のペットフード講座」の本編(月額マガジン)で少しずつ、丁寧に解説していきますので、興味のある方は、ぜひ本編もあわせて読んでもらると嬉しいです。

そこで、フードの価格を考えるときには「1袋でいくら」ではなく、「1食あるいは1日でいくら」と考えるようにするのがおすすめです。
例えば(わんちゃんを例にします)、3kg入りのドッグフードが1袋で2,000円だったとします。そして、給与表でわんちゃんの体重に合ったところを見ると1日90gだとします。
給与表どおりにあげると、3kgのフードが33.3日でなくなることになります。
ということは、1日あたり約60円と計算できます。

ちなみに計算は
3kgのフードが33.3日でなくなる: 3000g÷90g/日=33.3日
1日あたり約60円       : 2000円÷33.3日=60.06円/日

もし1日2回に分けてごはんをあげるとすると、1食あたりでは約30円です。
これを安いと感じるか、高いと感じるかは飼い主さんそれぞれです。ねこさん・わんちゃんの1食あるいは1日あたりの食費として、ご自身が納得できる価格のものを選んでください。

きっと、フードの価格を1食あるいは1日あたりで考えるだけで、ずいぶんとフードを選びやすくなると思います。

3.ペットフードの「原材料・添加物」は気にする必要なし

ペットフード選びについてのいろいろな記事やYouTubeの動画などを見ると、原材料や添加物に注意するように書かれていたり言われていたりするものがほとんどです。そのような情報を目にして、原材料や添加物のことをすごく気にしている飼い主さんもいるのではないでしょうか。
でも、飼い主さんはペットフードの原材料や添加物について気にする必要は一切ありません。
もちろん、ペットフード会社は原材料選びや添加物について、細心の注意をはらう必要があります。でも、”飼い主さんは”気にしなくても大丈夫です。

これもほとんどの方には、にわかには信じがたいことだと思います。
「ペットフードの原材料」についての詳しいことは、5月20日と5月27日に公開する本編で2回にわたって解説します。(それでも足りなくて、さらに回数を重ねることになるかもしれません。)
そして「添加物」については、ヒトの食品も含めて、別の機会に解説します。
楽しみしていてもらえると嬉しいです。
(5月20日公開の月額マガジンの記事はこちら
(5月27日公開の月額マガジンの記事はこちら

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