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大型品種の子猫・子犬


はじめに

僕もX(ツイッター)をやっていまして、当然のように、いわゆる”猫アカウント”です。そのためフォローしているみなさんも、フォロワーのみなさんも、ほとんどが”猫アカウント”です。

すると、メインクーンやラグドール、ノルウェージャン フォレスト キャットなどの子猫さんと暮らしている飼い主さんたちの、「いつも、うんちがゆるいんだけど」といったポスト(ツイート)をよく見かけます。

これらのねこさんの共通点は、大型の品種だということです。
ねこさんに限らず、わんちゃんでも大型品種の子犬さんは、うんちがゆるくなりがちです。

実を言うと、うちのポン次郎(メインクーン)も子猫のときは、よく、うんちがゆるくなっていました。

ところが、「あること」をするようにしてからは、うんちがゆるくなることがなくなりました

その「あること」を大型品種の子猫さん・子犬さんの飼い主のみなさんに知ってもらいたくて、今回のテーマは「大型品種の子猫・子犬」にしました。

ただ今回の内容は大型の品種に限らず、子猫さん・子犬さん全般にあてはまることでもありますので、大型品種でなくても子猫さん・子犬さんと暮らしている飼い主さんには、読んでもらえると嬉しいです。

なお、今回の内容の一部は「ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師のペットフード講座」の本編(月額マガジン)の第24回「ねこさん・わんちゃんの下痢」と重複しています。
ご興味のある方は、そちらの記事もご覧になってみてください。
(記事はこちら


大型品種の子猫・子犬の特徴

大型品種の子猫さん・子犬さんの特徴は、あたり前ですが、「子猫・子犬なのに大きい」ことですよね。
でもそれだけでなく、もう一つの特徴として、他の品種の子猫さん・子犬さんと比べて「ゆっくり成長する」ということがあります。

ひとつめの特徴の「子猫・子犬なのに大きい」ことが、大型品種の子猫さん・子犬さんのうんちがゆるくなりやすい原因です。

そして、ふたつめの特徴である「ゆっくり成長する」ことが、とくに大型品種の子猫さん・子犬さんにはサプリメントをあげないようにしてもらいたい理由です。

では、なぜ「子猫・子犬なのに大きい」とうんちがゆるくなりやすいか、からお話しますね。

大型の品種に限らず、子猫さん・子犬さんは体が成長しているため、体重当たりで比べると、おとなのねこさん・わんちゃんよりも多くのエネルギーや栄養素が必要です。
ですから、子猫さん・子犬さんは、体重当たりでは、おとなのねこさん・わんちゃんよりもたくさんのフードを食べることになります。
そして大型品種の子猫さん・子犬さんの場合は、それがより顕著になります。

実際にどれくらい多くのフードを食べるのかをみてみましょう。

まず、ネコについてはメインクーンさんを例にします。
(「ねこさん・わんちゃん」と「ネコ・イヌ」の使い分けについては、ペットフード講座の第0回をご覧ください。 第0回の記事はこちら

生後6カ月齢のメインクーンの子猫さんは、男の子だと、体重が4kgくらいになります。すでに普通サイズのおとなのねこさんと変わりませんね。

このメインクーンの子猫さんとが1日に食べるフードの量は、もちろんフードによって違いますが、だいたい100g前後です。

一方、同じ体重4kgのおとなのねこさんが1日に食べるフードの量は、だいたい50gくらいです。(これも、もちろんフードによって違います。以下同様です。)

つまり1日当たり、生後6カ月齢の子猫さんが、おとなのねこさんの約2倍の量のフードを食べることになります。

同じ体重でも、子猫なのに食べる量が2倍


続いて、イヌはゴールデンレトリバーさんを例にみてみましょう。

生後3カ月齢のゴールデンレトリバーの子犬さんの体重は10kg前後です。おとなになったときの3分の1くらいの体重ですね。
この子犬さんが1日に食べるフードの量は、だいたい300~350g程度です。

一方で、体重が同じ10kgの、おとなになった小型~中型のわんちゃんが1日に食べるフードの量は、だいたい150g前後です。

つまり1日当たり、生後3カ月齢の子犬さんが、同じ体重10kgのおとなのわんちゃんの2倍以上のフードを食べるわけです。

先ほどのメインクーンの子猫さんの例よりも、さらに幼い時期でおとなの2倍です。

同じ体重でも、子犬なのに食べる量が2倍以上!


もし、これらの子猫さん・子犬さんに、この量のフードを1日2回に分けてあげるとすると、1回に食べるフードの量が、同じ体重のおとなのわんちゃんの1日分と同じになってしまいます。

まだまだ体が成長中の子猫さん・子犬さんですから、とうぜん、消化器の働きも未発達です。その子猫さん・子犬さんが1回に、同じ体重のおとなのねこさん・わんちゃんの1日分と同じ量のフードを食べるっていうのは無理があると思いませんか?

これが、大型の品種の子猫さん・子犬さんのうんちがゆるくなりやすい原因です。


ごはんのあげ方

では、この記事の初めのほうに書いた、子猫のポン次郎のうんちがゆるくならなくった、「あること」とは何でしょうか?

それは、「1日のフードをあげる回数を増やして、そのぶん、1回にあげるフードの量を少なくすること」です。

大型の品種の子猫さん・子犬さんは、1日におとなのねこさん・わんちゃんの2倍の量のフードを食べるわけです。それを1日2回であげてしまうと、1回ごとが食べ過ぎになって、うんちがゆるくなってしまうんですね。

ですから、1回にあげるフードの量を少なくして、毎回、ちゃんと消化・吸収できるようにしてあげるわけです。
すると、必然的にあげる回数を増やさないと、1日に必要な量のフードを食べることができません。

何回に分けるかは、それぞれの子猫さん・子犬さんによりますが、ポン次郎の場合は、1日分のフードを7~8回くらいに分けてあげると、いいうんちをするようになりました。

そうなると、毎回フードの量を計るのは大変ですから、下の写真のような容器に1日分のフードを計っておいて、そこから少しづつフードをあげるようにすると楽チンです。
(この方法は、ねこさん・わんちゃんがおとなになっても使えます)

このような容器を使うと楽チン!


サプリメントはあげない

つぎに、大型品種の子猫さん・子犬さんのふたつめの特徴である「ゆっくり成長する」ことが、なぜサプリメントをあげないようにしてもらいたい理由になるのか、をお話します。

大型品種のねこさん・わんちゃんは骨格そのものが大きいので、成長期には、なんとなく、カルシウムのサプリメントをあげたほうがよさそうだと思ってませんか?

でも、特別な理由がない限り、子猫さん・子犬さんにサプリメントをあげるのは危険ですからやめてください。これは大型の品種だけではありません。
とくにカルシウムのサプリメントは絶対にあげないでください。

子猫さん・子犬さんの体はどんどん大きくなっていきますよね。
このとき、筋肉の成長の速さと、骨の成長の速さのバランスがとれていなければなりません。

前脚や後ろ脚では、筋肉が骨をまたいでくっついていますから、とくに筋肉と骨の成長の速さのバランスが大切です。

筋肉がくっついている場所が変わることはありませんから、筋肉の成長よりも骨の成長が速いと、伸びようとする骨を筋肉が押さえ込むような状態になります。
すると、骨がまっすくに伸びることができずに曲がってしまいます

大型品種の子猫さん・子犬さんは、成長がゆっくりなぶん、なおさら筋肉と骨の成長のバランスが大切なんですね。

筋肉と骨の成長のバランスが大切

子猫さん・子犬さんにカルシウムをあげすぎると、骨の成長が速くなりすぎてしまいます。
もしも、もしも、ショップなどで、「フードと一緒に、カルシウムのサプリメントもあげてくださいねー」などと言われたときには、「じゃあ、サプリメントをあげなくても大丈夫なフードをください」と言ってください。


今回のまとめ

  • 大型品種の子猫さん・子犬さんには、1日のフードをあげる回数を増やして、そのぶん、1回にあげるフードの量を少なくする

  • 子猫さん・子犬さんにサプリメントはあげない


大型品種のねこさん・わんちゃんには、その大きさならでは魅力があります。
そんな大型品種の子猫さん・子犬さんの健やかな成長に今回の記事がお役に立てたなら、とても嬉しいです。

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