ごはんを食べないとき Part1 要注意編
はじめに
暑い日が続き、食欲が落ちているねこさん・わんちゃんもいるのではないでしょうか。
ねこさん・わんちゃんがごはん(ペットフード)を食べないとき、みなさんはどうしていますか?
ごはんに何かトッピングをしますか?
違うごはんに変えますか?
とりあえず好きなおやつをあげますか?
でもその前に、ごはんを食べない理由を少し考えてみましょう。
ごはんを食べない理由
ねこさん・わんちゃんがごはんを食べない理由はいくつか考えられます。
理由1.病気などで食べることができない
理由2.違うものを食べたい
理由3.そもそも食べる必要がない
ねこさん・わんちゃんがごはんを食べない理由によって、飼い主さんがどうすればよいかが違ってきますから、ねこさん・わんちゃんの様子をよく見てあげてください。
とくに「理由1」の場合は動物病院で診察を受けさせてあげる必要がありますから、今回は「理由1」について解説します。
ねこさん・わんちゃんがごはんを食べないときは、次のポイントをチェックしてください。
ごはんを食べないときのチェックポイント
深刻度:大
チェックポイント1~4にあてはまった場合:
深刻な状態である可能性がありますので、一刻も早く動物病院で診てもらってください。
とくに、ポッチャリ体型のねこさんが2~3日何も食べないでいると、からだの脂肪が急激に肝臓に送られて、肝リピドーシス(脂肪肝)になってしまうことがあります。肝リピドーシスになってしまうと、今度はそのせいで食欲がまったくなくなって、命にかかわる状態になります。
「2~3日様子を見てみよう」などとは思わずに、すぐに動物病院に連れていってあげてください。
深刻度:中~大
チェックポイント5にあてはまった場合:
下痢・嘔吐の程度によっては、やはり深刻な状態である可能性があります。
・水のようなうんちをしている
・うんちに血が混じっている
・1日に何度も吐いている
これらの症状がある場合も、一刻も早く動物病院で診てもらってください。
とくに
ご飯を食べない + 元気がない + 1日に何度も吐く
場合は、緊急事態である可能性が高いので、迷わずにすぐに動物病院へ行ってください。
また、これほどでなくても、元気がない、下痢、嘔吐などの症状が2日以上続いている場合は、できるだけ早く動物病院に連れていってあげてください。
チェックポイント6にあてはまった場合:
体重が1週間で2~3%以上減っているならとくに要注意です。
病気ではないわんちゃんが、仮に1週間何も食べなかったとすると、個体差はありますが、体重が2%くらい減ります。
(ちなみに、肥満のわんちゃんが1週間何も食べなかったとすると最大で7%くらい体重が減ります。)
それ以上に体重が減っているということは、何も食べない以上に消耗しているということですから、炎症など何らかの異常があると考えられます。
また、関節炎などで痛みがある場合も食欲が落ちることがあります。
ですからこのような場合も、できるだけ早く動物病院に連れていってあげてください。
そして、ねこさんの場合、もともとあまり水を飲みませんから、ちょっとしたことで脱水をおこしてしまいます。そして脱水をおこすと体重が減ります。
ねこさんは人のような汗はかきませんが、暑いときにはグルーミングをして体にだ液をつけることで、体温を下げようとします。
すると、だ液と一緒に失われる水分が多くなって、脱水をおこすことがあります。
あるいは、腎臓病の初期には、おしっこの量が増えて脱水をおこしやすくなります。すると、体重が減ったり、腸でより多くの水分を吸収するためうんちが硬くなって便秘になったりします。
ここでぜひ気をつけてもらいたいのが、体重が2%減っても気づくのが難しい、ということです。
5kgの2%というのは、わずか100gです。体重が5kgだったねこさん・わんちゃんが1週間で4.9kgになっただけで、何らかの異常がある可能性が高いのです。
このように、わずかな体重の変化でいろいろな異常に気づくことができます。そのためにも、普段からこまめに体重測定をするようにしてあげてください。
深刻度:小~中
チェックポイント7・8にあてはまった場合:
口内炎やケガなど、口の中に何らかの異常がある可能性があります。
とくに高齢のねこさん・わんちゃんの場合は、歯石がたまって歯周病になっていることがあります。
歯周病は腎臓病や心臓病の原因にもなります。歯周病菌が血液の中に入り込んで、腎臓や心臓で炎症をおこしてしまうのです。
人では歯周病が認知症の発症や進行に影響を与えることがわかっています。
口内炎や歯周病がひどくなる前に、定期的に動物病院でお口の中をチェックしてもらうようにしてください。
チェックポイント9にあてはまった場合:
普段と違うことや気になることがあって、ごはんを食べない、あるいは少ししか食べない状態が2日以上続くようなら、動物病院につれていくか、少なくとも動物病院に相談してください。
ネットで調べたり、SNSで相談している場合ではありません。
ぜひ、ちょっと気になることでも気軽に相談できる、かかりつけの動物病院を見つけておきましょう。
暑い時期だからこそ気をつけて
暑い時期だと、ねこさん・わんちゃんの食欲が落ちても、つい暑さのせいだと考えがちですが、思いもよらない病気などが原因かもしれません。
食べないからといって、ごはんにトッピングしたり、おやつをあげたりすると、かえって病気を見逃すことにもなります。
何とかして食べてもらいたい気持ちはよくわかりますが、安易にトッピングやおやつにたよらずに、ねこさん・わんちゃんの様子をよく見てあげてください。
「何となくいつもとは様子が違う」という飼い主さんの直観はバカにできません。
「動物病院に連れていったほうがいいかも」と思ったときには、動物病院に連れていってあげてください。そのほうが、間違いなく後悔しなくて済みます。
動物病院に連れていって、とくに何事もなければ、先生と相談してトッピングなどを試してみてください。
次回の「ペットフード基本の『き』」
次回は、「ごはんを食べないとき Part2 使えるワザ編」をお送りします。「理由2」と「理由3」について解説し、食べないときに使えるワザも紹介します。
お楽しみに!
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