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海外ペットテック スタートアップニュースまとめ#20(薬を自動投与するスマートカラー)

外用薬の自動投与を可能にするスマートカラーを開発中のスタートアップJetMedsに関するアップデイトです。

薬の自動投与を可能にするスマートカラー

自動投薬を効果的且つ効率的に行うスマートカラー

JetMeds社のスマートカラーは、少量の液体を高速で動物の皮膚や毛皮に吹き付けるというもの。モバイルアプリで治療スケジュールを登録しておくことで、動物の皮膚に直接、微量の外用薬を自動的に塗布できる。最近のインクジェット印刷やマイクロ流体力学の技術進歩により、スマートカラーな首輪を開発することが可能になったとのこと。JetMeds社は最近、5ヶ月間の研究を行い、開発したスマートカラーがノミに対して完全な効果を持ち、既存薬と比較して25%の投与量で済むことを実証した。

2021年創業のJetMedsは、既に市場に出ているようなペットに薬を投与する製品にはそれぞれ解決できていない課題があると考えており、例えばSpot-on Treatment(局所的な投薬)は手間がかかり、Chewable(口からの服用)は飼い主が忘れずに処置する必要があり、今年リコールが発表されたような安全性に懸念が多い首輪もある。

現在は開発したプロトタイプを用いて実証実験中。2024年に発売予定。一方で、スマートカラーを市場に出すまでに残る課題のひとつは、耐久性と機能性の両方を確保することだという。実証実験では、何匹かの犬が首輪を噛み切ってしまうという事例も報告されている。

ビジネスモデルはプリンターメーカー方式

JetMeds社は、ペットや動物の製薬メーカーと提携し、首輪から投与する治療薬を供給する予定。創業者によると、カートリッジの形で販売できる外用薬は多岐にわたるという。寄生虫駆除剤、駆虫剤、抗感染症剤などが当面の用途。また、抗炎症剤、鎮痛剤などにも対応する予定。さらに、フレグランスやコンディショナーなど、衛生・パーソナルケア市場にも参入する可能性があるという。ビジネスモデルとしては、プリンターメーカーと同じようなものを考えている。顧客はまず首輪を購入し、薬のカートリッジが無くなったら再注文するというモデル。JetMeds社の製品は、市販されている他のスマートカラーとほぼ同じ値段になるという(Fiは149ドル、Whistleは79ドルでGPS付き首輪を販売している)。

価格をベンチマークするスマートカラー「Whistle」
価格をベンチマークするスマートカラー「Fi」

JetMedsが狙うのは、大流行したペットブームで拡大したペットケア市場。2022年4月時点で、ペットと関連商品へのインフレ調整後の支出は2019年1月と比べて28%増加している。JetMedsは来年にはシリーズAラウンドでさらに350万ドルから500万ドルを調達する予定。

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