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大ごとと小ごと

美しい

その言葉にどれほどの人が酔わされたのだろう。狂わされたのだろう。
僕もその一人にはならないと誓っていたのに、目の前の光景がそれを許さない。

大きなクレーターが作られた。
かつて、といってもつい数分前まで活気溢れる街だった。
鏡のような水面に石が投げ込まれたように、一瞬の出来事だった。
多くの魂が無邪気な一投によって散っていった。

どんな暮らしをしていたのか。
どんな思いを抱えていたのか。
どんな。

何もわからなくなった。
その生物自身も、その痕跡自体も永遠に塵になった。

漂白された美しさと引き換えに。

今の人の常識として狂気に分類される僕の思いもいつか気泡のように消えてしまうから、今だけはこの思いに浸らせてほしい。

僕はただの人間であった。

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