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【企業インタビュー】カーボンニュートラルを加速するために 私たちができることは? 株式会社ADKホールディングス様の取り組み

脱炭素化社会の推進に向けて、企業はさまざまな取り組みを始めています。
しかし「何をどうすればいいのか」「他の企業はどんなことをしているのか」と考えあぐねている人は多い様子。

そこで今回から、先進的に脱炭素化社会に向けた取り組みを進めている企業様にスポットを当て、みなさまが参考にできる実践法をお聞きしていきます。第1回目はパーセフォニのお客様でもある株式会社ADKホールディングス様へのインタビューです。

迷ったり悩んでいる方々の参考になりますように。

【用語解説】カーボンニュートラルとは、発生した炭素(CO2が対象)排出量と除去量を差し引きゼロにする状態です。詳しくは過去の記事【秒速理解】脱炭素社会とは?なぜ目指すのか?達成の第一歩とは?で解説しています。

■インタビューした企業様
株式会社ADKホールディングス
■お話を伺った方々
株式会社ADKホールディングス 吉松香奈子様
株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ 原口政也様、  中村俊郎様

「マーケティング」からカーボンニュートラルの課題を導く

ーーADK社は多くの人が広告企業というイメージを抱いているのでは。

そうですね。ADKグループは、現在ADKホールディングス、ADKマーケティング・ソリューションズ、ADKクリエイティブ・ワン、ADKエモーションズという基幹会社が4つあり、広告事業が主です。しかし今は、ビジネスモデルの変革期にあります。広告だけではなく、成果物を導き出すまでのフローを重視しており、お客様やクライアント様の課題発掘や問題整理、提案などソリューションをまるごと一貫して行うマーケティングサービスの会社として、視野を広げ始めています。

ーー貴社はCO2排出量が多くはない事業体です。それでもカーボンニュートラルの取り組みを始めたきっかけは?

お取り引き先やクライアントから、脱炭素に対する企業のスタンスを問われるようになっているのが大きく影響しています。こうした取り組みに積極的かどうかという点は厳しくチェックされていますね。

すでに外資系の企業では、”カーボンニュートラルな取り組みをしないと、お取引先として付き合わない”姿勢を示している企業も。行動を起こさないと、我々はサプライチェーンのひとつとして選ばれなくなってきています。これは本気で取り組まないといけない、と気を引き締めたのです。

ーー実際にどんな取り組みをしていますか。

自社としては、消費電力の削減やペーパーレス推奨など、働き方改革と連動する形で取り組んでいます。しかし、私たちのできることは限られています。もっと踏み込んだ「カーボンニュートラル」を目指すには、ADKだけではなく周りを巻き込み、広い視野を持った取り組みにしないと意味がない。そこで、クライアント様やお取引先様と手を組み、彼らの課題や困りごとを私たちがサポートすることで、広義な意味での「カーボンニュートラル」な取り組みを始めています。

ADK: Carbon Neutral Marketing

多くの人を巻き込んで、広義な意味での課題解決を

ーー顧客のサポートをする形とは、どんな取り組みなのでしょうか。

ここまで当社が培ってきた「マーケティングの手法」を利用したサポートです。クライアントの課題や問題の洗い出し、解決のための手法を提案、解決にむけたサポートをする「カーボンニュートラル・マーケティング」を展開しています。

ーーなぜ始めようと思ったのでしょうか。

カーボンニュートラルに対して「手間がかかる」「お金がかかる」「何ができるのか実はわからない」と感じてしまい、二の足を踏んでいると多数聞いています。

お取引先様とコミュニケーションをする中でも、「カーボンニュートラルに興味も意識も持っている」けれど、「行動するまでは至ってない」企業の多いことがわかりました。

ならば、私たちができることとして、日頃行っている情報の情報のリサーチや分析、ソリューションの開発の面から悩む顧客に対して協力できるのではと思い至りました。

「関心があるけど、どうしたらいいかわからない」をサポートすることで、企業の課題解決につながるならば、広義的な意味で「社会課題の解決」になると考えています。

株)ADKマーケティング・ソリューションズ
プランニング・ディレクター ソリューション・ディレクター 原口政也さん

互いに強い思いを持って、粘り強く解決方法を探す

ーー実際に企業とはどのような取り組みをしていますか?

事例の1つとしてご紹介するのは、チューリッヒ保険会社さんの自動車保険に付随した「カーボンニュートラル自動車保険」です。

当ブログラムは、同社の「スーパー自動車保険」の新規加入時に、お客様の自家用車による走行距離に応じたCO2排出を算出、オフセットできる仕組みです。オンラインで簡単に手続きが可能です。お客様が購入したクレジットは、日本国内外の森林保全活動資金に充当されます。同時にチューリッヒ保険会社様は、お客様と同額を日本国内の地方自治体やNPOなどの森林再生プロジェクトへ寄付することで「共に」気候変動問題の取り組み解決を加速させることを目標としています。

私たちは、サービスの開発段階からチューリッヒさんとご一緒し、問題意識の洗い出し、設計を行ってきています。

元々環境問題に関心の高いクライアント様でしたが、共に1年がかりで準備をし、2022年10月からサービスを開始しました。

ーー取り組みを推進するにあたり、どんな点がよかったのでしょうか。

クライアント様が、気候変動問題について「今、行動する必要がある」という強い意志をお持ちだったことが一番重要だったと思います。

課題や問題を乗り越えて 外部からの反応は?

ーーADKグループとしてカーボンニュートラルの取り組みに課題はあった?

まず意識レベルの濃淡に課題がありました。世界中に工場や資源を持つ企業さんとは、問題意識の強さが違うのです。排出する資材が多くない私たち企業は、カーボンニュートラルに対して、取り組む優先順位があまり高くない。このように社内での優先順位が劣後しがちな中、どう取り組みを推進していくかが悩みでした。

ーーそれでも「環境に良い取り組みを」と実際に動き始めています。社内でプレゼンスを高めるためにどのような行動を?

「ソーシャルイシュー」にアタックしたい意識を持つ若手社員が増えています。こうした意識を持つ社員を中心に、社内ではプロボノワークなどが始まっています。まずは興味のある人たちが行動し、身近なところから仲間集めをして輪を広げていく。こうした地道な活動の繰り返しです。小さな行動の積み重ねが、結果大きな行動を促すことになっていくと思っています。

(株)ADKマーケティング・ソリューションズ
EXデザインセンター alphabox CXディレクター 中村俊郎さん

熱意を大切にし、自社にはない視点と勢いをとりいれる

ーーカーボンニュートラルの取り組みを推進するためにはどんな点を意識したらいいですか?

私たちの転機は、2021年春にカーボンニュートラルの取り組みをするスタートアップ企業との出会いでした。彼らと協業を始めたことで、私たちの取り組みも大きく推進するようになったのです。推進するスピード力や、知見の深さももちろんですが、社会課題に対する熱量が非常に高いことが何より印象的でした。その熱を浴びて私たちも前のめりになったのです。

とかく堅実な道を歩もうとしがちな日本企業。カーボンニュートラルの取り組みはまだ多くの企業がスタートラインに立ったばかりかと思います。今までの考え方を壊し、全く新しい価値観とやり方を取り入れる、まさにイノベーションを起こす気持ちが大切です。何か新しいことを進めていくには、こうした勢いと情熱のある外部の力から知見をもらったり、協業していくことが取り組みを推し図る際に生きると感じます。

ーー情熱と行動力ということですね。他にはありますか?

環境対策を行う部署やチームは、何かと単視点になりがち。クライアントやお取引先様から話を伺っていると、事業を推進する基幹部署と、社員間の意識や目的の共有がもっと深められるのではないかと思います。

環境課題を解決するためには、全ての部署やチームで強い気持ちとパッションを持つ必要があり、セクションは皆違えど、トップがリーダーシップを持って全員で推進していくことが大事だと思います。

ーー今後、ADKグループとして取り組んでいきたいことは?

環境課題を解決するための「エコシステム」をもっと広げていけたらと思っています。マーケティングの側面での協力に限らず、ビジネスモデルの構築や財務モデルの構築など、クライアントやお取引先様のニーズに応じて、提携するパートナー企業もどんどん増やしていきたいです。

ーーどんな企業さんをサポートしていきたいですか?

業種にかかわらず、脱炭素でビジネスイノベーションを起こし、自社を発展させ、日本経済を復活させていこうというビジョンを持った企業の皆様のサポートを、主にマーケティングの領域を中心にサポ―トさせていただきたいと考えています。もっともこのような企業様に限らず、多くの企業で脱炭素に対する課題を持っているように思います。「どこに課題があるか」という声を聞くところからもっと推進していきたいですね。

ADKの皆様、ありがとうございました!


最後までお読みいただきありがとうございます。

自社が排出するCO2は多くはないが、サプライチェーンとして選択されにくくなっているとは、痺れるお話でした。そして社内外でカーボンニュートラルを推し進めるには、イノベーションを起こす勢いと情熱が重要というのも学びであり、襟を正していかなくてはという感情が湧いてきました。

皆様の活動のヒントが見つかることを祈っています。

それではまた次回、お会いしましょう。



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