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院内見聞録 入院シーズン3 4日目(手術)

2022年5月16日

0:30、00:41、1:52(カレーを作るのに追われているとのメモあり。どんな夢だ?)、3:45、4:58、5:49に目覚めるという相変わらずの細切れ睡眠。物音で目覚めるのかと思い、持ってきた耳栓をしてみたがあんまり効果なし。起きたときに腰が痛いので嫌な予感がする。わたしはどうやら寝ているときに一切寝返りを打たないらしく(*1)、長く眠ると必ず腰が痛くなる。長く眠ってないのにすでに腰が痛いだなんて、この後、手術の間中と術後数時間は寝たきりになるので先が思いやられる。自分なりに腰を回したり、伸ばすストレッチをする。

手術前にメールチェックとDuo1レッスン。ふと思った。入院前にすでに髪がボサボサだったけど、どうせ入院するから退院してから髪を切りに行こうと思ってた。しかし退院した日に舞台挨拶があるじゃないか! こんな頭じゃ町田くんに会えない。そう思って美容師さんにメール。18時ぐらいにまでに丸の内に着ける時間に予約を取りたいと思ったが、お休みの日だったらしい。日曜日に病院に出張カットに行けるという話だったが病院では決まった美容師しか呼べないとのことで断念。仕方がない。ターバンか何かを巻いてごまかすしかない。

7時半までに歯磨きと着圧ソックス(ストッキング?)を履く。白のハイソックスなので、まるでスクールメイツ。手術着に着替えるが下着も全部脱ぐ。え? 下もですか? そうか、今回尿道カテーテルを入れると言ってたから、そのためだな。前の病院のときもカテーテルを入れると説明されたが、手術のときには下着をつけていたと思うし、結局カテーテルは入ってなかった。

手術室に入る。この病院では朝と夜とで入れ替わる担当の看護師が挨拶に来るとき、みんなネームプレートを示しながら名乗る。手術室でもいろんな先生や看護師から名乗られるが、まぁ覚えきれない。ひとり松葉杖の先生がいた。手術室と松葉杖、なかなかの違和感である。

台の上に乗ると着圧ソックスは履いているが、脚にポンプみたいなものを付けると言われた気がするが付ける気配はない。まぁ、意識がなくなった後に付けたのかもしれないが…。点滴を手の甲に取る。挿すときに少し痛いですよと言われるが、かなり痛い。少しちゃうやん。その後の麻酔薬もかなり痛い。痛い、痛いと思ってるうちに意識がなくなる。

次に気がついたら病室に移されるところだった。管だらけで、ジュリーじゃないが ♪右にはドレーン、左にはカテーテル、唇に酸素マスク~って言うてる場合か。ふと目を上げるとEZ Waterと書かれた点滴様のものがポコポコいってる。しかし腕につながってる様子はない。何だろう、このイージードゥダンス水は? 看護師さんが来たときに聞いてみると酸素吸入をしていると乾燥するのでそれを防ぐものとのこと。酸素をイージードゥダンス水に通すことによって酸素に湿気がつくということか。道理で点滴に比べて全然減らないわけだ。

通称イージードゥダンス水

口の中がアミノ酸の味がする。というと、美味しいの? と思うかもしれないが、あれですよ。たまにあるでしょう? 偽玉露というかアミノ酸が添加してある緑茶。一口飲むとオエッてなるあれ。あの味がする。うがいしたいというと、持参しているブリタの浄水ボトルを渡され水を口に含むつもりが喉の奥に入ってしまう。あれ? あれ? 口をゆすごうとするのだが、飲んでしまうのですぐに吐き出し、ちょっと飲んでしまいましたと申告。というのも、先生の許可が出るまではまだ水も飲んではいけないからだ。おそらくまだ麻酔の影響で思うように筋肉が動かせなかったのだと思う。

お腹はグーグー言うが空腹感はない。体もじっとしている限り傷の痛みはない。ただ体を動かそうとすると引き攣れて痛い。それよりもじっとしていることで、寝すぎたときに痛くなる腰が痛い。恐れていた予言的中! 寝すぎて痛いときは、腰を拳でトントンする、硬いものをその場所に当てて床に横になってグリグリする、チャイルドポーズでしのぐのだが、どれもできない。タオルを丸めたものを腰に入れたり、思いつくことはやってみる。人は同時に二カ所の痛みを感じることはないから、痛みを紛らわすためにぶん殴るとギャグ漫画で読んだ気がするが、気のせいかもしれない。最近では自分の記憶がまったく当てにならないからだ。

でも、言われてみれば腰の痛みに集中すると、傷の痛みは感じない気がする。体を動かすと傷が痛むが、そのときは腰痛は感じない気がする。でも、いずれにせよどちらかは痛い。何か別のもので気を紛らわせばいいのでは? と思って顔だけ左に向けるとデスク上に飾った町田くんがきりっとした顔でこっちを見ている。ここに置いたわたしグッジョブ。

ところで、初めての尿道カテーテルである。異物感は特にないし、当然のことながら尿意もない。ただ、ときどき尿道の辺りがザワワッとなるときがある。そのときに出てるのか? この管の先がどうなっているか確認したいが、まだ体を起こしてはいけないので見れない。足をフレックス&トウと動かし、手の指を動かす。自分の感覚ではもう起きれそうな気がする。

夜の検温。37.6。微熱だ。体が闘っている証拠ですと言われる。道理でさっきから暑いと思ってた。しかし、暑いから布団をどかすと寒くなり、寒くなってはまたかけるの繰り返し。相変わらず腰と背中が痛い。今、一番取りたい姿勢、チャイルドポーズ。看護師さんにいつから体を起こせるのか聞くと、まだ立ち上がってはいけないが、ベッドを起こしてもいいとのこと。起こすと腰の一点に集中していた圧が弱まり楽になる。

急にスマホの指紋認証ができなくなった。Pinで解除のみ。再設定しようとしたが、その項目が出てこない。しばらくすると知らぬ間に復活。そういえば数週間前パソコンの指紋認証も効かなくなって、何週間かPinで解除してたが、それもあるとき勝手に戻っていた。

「ゼロヴィル」読了。しかし、読了と言っていいのか分からない。というのも、半分ほど読んでずっと数年単位で放置していたからだ。いつからか? この本を買ったのはスティーヴ・エリクソンが東大に来たときで、奥付を見ると2016年とある。6年前か。すでに読んだ前半のことはほとんど忘れていたが、今から読み直す気にならず続きから読む。覚えていたエピソードもあれば、忘れていたエピソードもあるが、夢で見た文字の話は一切思い出せなかったのだが、最後まで読んだらそれこそがこの作品の核だった。

そういえば「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を見たときに、似ても似つかないのになぜか「ゼロヴィル」のことを思い出したなー。物語の中で固有名詞を出さずに語られる映画やバンドが出てくるたびに、あれのことかしら? とか、考えるから読むのに時間がかかる。

それから一点だけ気になったこと。ソレダードの葬式に集まった人々の中、ヨーロッパ有閑族に(ユーロトラッシュ)とルビが振ってあったが、ユーロトラッシュって、ジェス・フランコとかルチオ・フルチとかイタリアでジャーロと呼ばれるジャンル映画のことじゃなかろうか? そしてソレダードは本編は見たことがないけど、なぜかサントラだけ持っている「Vampiros lesbos」のジャケットの娘だろうか? 家に帰ったら確認しよう。


  1. 何かのインタビューで町田くんも同じようなことを言っていて、だから寝る前のポジション取りが重要らしい。眠っているときに寝返りを打たない人なんてわたしぐらいだろうと思っていたので、意外な共通点になんか地味にうれしい

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