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餃子と会話がしたい

先日のランチタイムのこと。買い出し前で冷蔵庫がすっからかんで、これと言って食べるものが何もなかった。

何か冷凍しているものは無いかと冷凍庫を開けて見たらスーパーで購入した冷凍餃子が入っていた。

連日に渡る猛暑で体調を崩していて、どうしてもキッチンに立てない時に頼ろうと思って買っておいたものだった。

せっかくだし、お昼はご飯はこれでちゃちゃっと済ませてしまうか。

夫からのゴーサインも出たので、この日のお昼は冷凍餃子にすることに。

普段、餃子は自分で皮から作るから、皮は買ったとしても自分で包むところから始めるかの2択が多く、あまり冷凍餃子を食べることがない。

お店のやつなんかは食べたりもするけれど、それは本当に稀。


どうやら、今の冷凍餃子は目まぐるしい進化を果たしているらしく、油も水も、はたまた蓋も必要なく羽付きのものが焼けるらしい。

いったいどうなってるんだ。

半信半疑で焼き始めてみると、数分後にはあっという間に綺麗な焦げ目がつき始めている。



ご覧の通り、油がなくてもテフロン加工されフライパンならくっつく事もなく、綺麗にスルリとフライ返しが入っていく。


これは何とまあ、ビックリ。

スーパーに並ぶ冷凍餃子はここまで進化していたのか。

そりゃみんな、冷凍庫にストックしておくわけだ。

普段、羽付き餃子だけは綺麗に焼くことができない私でも、今にも飛べそうなくらい綺麗な羽をまとった餃子が焼けた。

味も非常に美味しい。万人受けして、パクパクいけてしまう餃子だ。

でも、なんだか物足りなかった。

餃子って本来は、手間暇かけながら愛おしい我が子を作り出す工程が楽しいし、水の蒸発音を確かめながら、ここぞ!というタイミングでひっくり返し、綺麗な焼き色を確認する時間を愛おしむものだと思っている。少なくとも私は。


だから、その工程なしに家で餃子を食べることが、なんだか物足りなく感じた。

私は餃子と会話がしたい。


数日後。

満足できなかった私は、皮から餃子を作った。

手に伝わるひんやり感ともっちり感。

幼い頃、粘土遊びと泥遊びが好きだった私は、結構この工程が好きだったりする。

皮は強力粉と薄力粉をブレンドして。こうすると自分好みのもっちもちで、歯切れのいい食べ応えのある餃子に焼き上がる。

もちろん、水餃子も蒸し餃子も美味しい。

美しく並べられた子たちを見るのも至福のひと時。

包むのはあまり得意ではないので、ヒダを美しく作れるようになるのが永遠の課題である。

そして、餃子作りを通して何よりも好きなのが焼く時間。

手間暇かけて作った餃子たちをお風呂に入れ、蓋をする。

蓋の中から叫ぶ餃子たちの声に耳を傾けながら、最適なタイミングを測る。

これこれ。この工程がないと、なんだかどうも餃子を食べた気にならない。

餃子の声を聞き、蓋を取って最後にごま油をひと回し。

ごま油の弾ける音を確かめながら、今だ!というタイミングを見つけてひっくり返す。

うん。本日もいい焼き加減。

味も抜群。はなまるだ。


餃子はやっぱり、自分の手をかけて作るから満足感があるのかもしれない。

いつも、何かに没頭したい時に餃子を作りがちなのもそのせいなのかも。

いつだって私は餃子と会話がしたい。

会話をして、焼き上げたい。それが楽しくてたまらないのだ。


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夏沢 ぺろみ
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