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中途採用:職種未経験から日本でITエンジニアになるには

SNSを眺めていると、他業種から一心発起してITエンジニアになろうとしている方をよく見かけるようになった。かく言う僕自身も数年前に大学を辞め、この業界に入った身だが、当時と比べて気をつける点が増えたと感じる。今回はそのことについて、後半に3つ書いてみたい。

タイトルの件をゴールにするなら、気をつける点(以下の「違和感」)をなるべく解消しておくことに加え、企業によっては当然技術スキルや語学スキルも見られるため、その対策が必要となる。後者2つについては、数多のネットにある記事が詳しいため今回は割愛する。

職種別有効求人・求職状況を見ると、2024年5月時点での東京都内のIT技術関連の倍率は、有効求人数が23,875件あるのに対し、倍率は3.27であると記載されている。求人1件に対して3人の応募者があるとイメージすると、未経験者にとっては厳しい内容であることが分かるだろう。

IT関連の職業: https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/content/contents/001865087.pdf

この中から自分が希望する条件に極力沿った勤務先を見つけていくことになると思うが、カジュアル面談や面接の際、以下のどれかで「違和感」があれば保留にしたほうがよいと感じる。なお個人の経験になるが、このとき感じた「違和感」は入社後も消えることはない。マネジャー職に就いたとしても、改善は困難であることを添えておく。

創業メンバーが、全員で営業していない

入社後の気付きでも書いたが、やはり自社で持っている案件数や顧客とのつながりという点では、誰が営業しているかは確認しておきたい。ITエンジニアに限らず、あなたの仕事がつくられるのも、営業活動をとおして顧客から案件を持って帰ってくるからである。

一方で、何人か集まって創業された5年以内の企業であれば、社長が営業、他はエンジニアというパターンも存在する。こうした企業を受ける際は注意したい。というのも、テストや運用・保守しかやったことがないITエンジニアが創業メンバーにいたとすると、営業活動の皺寄せは先の社長が受けることになる。そのメンバーでは開発ができず、モノの納品もできない体制というわけだ。そうした状況での入社を防ぐため、どういうITエンジニアが集まってできた会社か、設立背景を知っておくことをすすめたい。

また、多くのITエンジニアを抱えているものの、営業できる人が限られると、待機(アベイラブル)時にやや強引に案件を渡されるケースもある。こうした状況であれば、営業のオペレーションもかたまっていないことが多いため、未経験の方としては他の企業も検討することをすすめたい。入社後にこのケースに遭遇し、SNSで後悔している方を見かける。

そうしたことをふまえ、個人的には下記3つを、少なくとも自分で答えられるようにしている。

面接官から具体エピソードを聞けない

面接で雑談(アイスブレイク)をされたり、趣味や土日の過ごし方を聞かれることもあるだろう。コミュニケーションの一環なので気軽に答えてあげてほしい。ただ、こちらも担当者に聞く中味の準備をしておくこと。未経験からIT業務にたずさわるにあたってのアドバイスを聞いておくとよい。少なくとも、昨今のSNSの情報よりは信用できる…ハズ。

稀に、趣味全開や動画や書籍から得た話をする方もいる。情報源を提示してくるパターンがあるので分かりやすいが、応募する指標としては弱くなるだろう。

例えば自分は開発志望で応募したが、担当者がテストや運用・保守経験しかないという場合。この場合は、残念ながら開発にかかわるエピソードを尋ねるのは絶望的だ。それなら軌道を変え、「この業界に入るにあたり、またこれまでの自身の仕事に対して、上に書いた話をどう応用し業務にどう活かしたか」の具体エピソードを聞いてみるとよい。ここで、過去の案件やふだんの勉強にまじえて話してくれる方であれば、開発エンジニアとうまくやっているエンジニアの可能性が高いので希望が持てる。あるいは個人開発をしている方なら、話をしてくれるだろう。

しかしここで尻込みをしたり、「自分はこの業務しかしたことがないから分からない」という回答が返ってきた際は、1つ目に書いたように同業他社も検討したい。入社後、1on1を実施しても具体エピソードの中味が薄く、メンバーの話が聴けないはずだ。こちらの回答をおうむ返ししたり、誰かに確認すると言ってその場が終わる。

どういうエンジニアがいるかを確認する

面接時に会社紹介をしてくれる企業もあるだろう。その際の質問で、ITコンサルやセールスエンジニア、マネジメント(PM, PMO, PL)、開発、インフラ、非エンジニア(ヘルプデスクやPMO補佐)の割合を尋ねるとよい。

非エンジニアの数が、従業員数の50%前後を占めていたら、未経験で入るのはおすすめしない。入社後、おそらくは「n年経験したら希望の職種にアサインする」、あるいは売上の側面から「ここに入ってほしい」と言われるだろう。会社は営利法人なのでその内容は正しい。

しかしその実態がどうかと言うと、中途半端に実務経験を積んだがゆえに単価もそこそこになってしまったが、顧客から求められるスキルに達しておらず、営業で苦労することになる。ここでITエンジニアと営業の軋轢を生むことになる。それを避けるために、2つ目のエンジニアの割合を確認し、困ったら相談できる環境か把握しておくことが肝要になるわけだ。

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