わたし、本当は君になんて言ってほしいんだろうね。
ずっと秘めておこうと決めていた胸の内を明かしてしまった。
『でも、怖い。きみに嫌われるのが。また描けなくなることが。きみを嫌いになるかも知れないことも。
本当は……頑張ることも、人を好きでいることも諦めたくない。君に出会ってそう思うようになった。変われるかもしれないって。でもまた、どっちか取るとどっちが手放さなきゃいけなくなるんじゃないか、って…。
……もう、さ そう考えただけで、さ。
………わたしはきみが好き。同じくらい絵を描くことが好き。でもまた同じことの繰り返しになったら、きっともう、わたしは…遣り切れない…。どちらか、じゃ駄目なんだよ。大切なものを大切なままで居れないなんて、わたしには無理。
もう何があっても夢を諦めたくない。同じくらいきみのこともずっと好きなままで居たい。どちらか、なんてできない。でも、どっちも、ずっと、なんて言えるほど、私は強くない……。
だから、だから…。』
だから、なんなんだ。
うまく言葉にならなくて喉の奥に詰まっていた言葉が、堰を崩したように溢れ出た。
でも、この気持ちを吐露して、君に何を期待しているんだろう。馬鹿みたいだ。
これを伝えて私はどうしたいのだろう。
困らせたいわけじゃない、可哀想な奴だと思ってほしいわけでもない。
いっそ嫌われたかったのかも知れない。
そうかもしれない。きっとそうだ。
いっそ、いま、引き攣った笑みを浮かべて私のことを理解ったフリをしてくれ。
その次に出る薄っぺらい言葉の中に希望みたいなのを見つけて、ちょっとの間だけ救われた気持ちになれるから。
お願い、お願い。
それでいいんです。
ごめんねって言って。
大丈夫だよって、本当になんともないよって言えるから。
でも、目の前の彼は
私よりずっと傷ついたような顔をしていた。
『 ………わたし、本当は君になんて言って欲しいんだろうね 』
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