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『そのことをなにもしらない』


2-1

生きる意味って考えたことある?
私はないんだけど、いや、考えたことはあるけど。別に答えを探してたわけじゃないから。

生きる意味。何のために生まれて何をして生きるのかってやつ。ある?考えたこと。
私はなんかね、生きることに無理やり目標設定したり理由を探すことが偉いことじゃないなって最近思ったんよ。逆に「あーこれで悔いはないわ〜」って、死ぬ瞬間に思えることを見つける方が大切な気がする。
そうするために、自分がなにをして生きていたいか、が最終的に、最期に、「この時のために生きてたんだあ」って思えるものになるんだと思う。
それが生きる意味。というか生きた意味、みたいな。ね、わかる?



幼稚園の頃ね、先生がヒヤシンスを育てようって言って持ってきたの。球根を。ヒヤシンスってね、最初は球根から根っこが出るまで寒くて暗い所に置いておいておかないといけないんだって。だから先生は花瓶を戸棚の中に入れたんだ。



後で知ったんだけど、ヒヤシンスの球根から根っこが出たら、あとは外に出して花が咲くのを待つんだって。
でも先生はね、戸棚に入れたことなんか忘れてて、しばらく経ってから戸棚の中で花が咲いたヒヤシンスを見つけて「わー!咲いてたよ!すごーい」って感動してたの。


その花のことをね、今でもたまに思い出すんだ。
忘られて可哀想だった。だけどすごく綺麗だった。
それが今でもなんか悲しく思えるんだ。
本当に綺麗だったよ。紫色の小さい花がたくさん咲いてた。


なんか私たちみたいじゃない?
誰に見られてなくてもちゃんと結果を出さなきゃいけないところとか。別に使命じゃないのにさ、なんかこうして今も、こういうことしているし。見せれるものは、自分の納得が行った、完成した作品だけ。何回もやり直したりして。

花だって咲かなかったかもしれなかったじゃん。見られてないんだから咲かなくてもよかったじゃん。
でもあの花は誰に見られなくてもちゃんと咲いたんだよ。
咲くことが当たり前のことだと思っている私たちの目には、ただの綺麗な花にしか見えない。
そんなふうにさ、美しい姿を見せる前の孤独なんてさ、誰も知り得ないんだよ。


どんな気持ちだったんだろうね。



綺麗だったなー。みんな感動して笑ってた。







あ、みつけた。紫色のヒヤシンス





花言葉は ーー 、

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