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エイハブの六分儀-西香織

【今月の星空案内】

すいぶん日がのびて、夏至も間もなくですね。今年は、6月21日(金)に夏至を迎えます。太陽がずいぶん北よりから昇り、北よりに沈んでいく様子から、毎年新鮮に季節による空の変化を実感します。雨も増えてジメジメするこの時期に咲く紫陽花が、ぱっと日々に明るさを添えてくれます。

梅雨入りはやはりちょっと気が滅入りますが、この時期の雨は稲作をはじめとする農業にも欠かせません。秋に美味しい新米や野菜や果物を収穫するために、必要不可欠なプロセスです。こうなったら、雨を思い切り楽しめるような工夫をするのがいいですね。皆さんのおススメの、雨の日対策を教えてください。

さて、そんな梅雨の訪れを告げるのが北斗七星。少しずつ西へ傾いて、ひしゃくですくった水が下にこぼれ落ちる角度になってきました。すくったたくさんの星々が恵の雨に変わるようです。水をくむ部分のはしから、それぞれ、ドゥベ・メラク・フェクダ・メグレズ・アリオト・ミザール・アルカイド。6つの2等星と、メグレズだけ3等星。メグレズは、「しっぽのつけね」という意味です。北斗七星はおおぐま座のおしりからしっぽにかけての星のならびで、都会では見えないので、すでにちぎれてしまっているしっぽです。他にも見どころがいっぱいで、ミザールにはアルコルという星が寄り添っています。この肉眼で楽しむことのできる二重星は、もしも見つけられたら視力の良さは保証つきです。四十暮れとも呼ばれ、40歳以上の人には難易度の高い星です。昔、兵士になる試験で使用されていたそう。双眼鏡でのぞくと楽しい天体です。

北斗七星の柄のラインを南にうーんと伸ばすと、うしかい座のアルクトゥールス、さらにその先におとめ座のスピカが輝いています。その長い曲線が春の大曲線です。今年も南に昇ってきました、アルクトゥールスとスピカは、春の夫婦星と呼ばれています。今年もちょうどいい距離感です。

うしかい座の隣には、りょうけん座という2匹の犬の星座が描かれています。アステリオンとカラ。お気に入りの名前です。北斗七星とりょうけん座の間のあたり、望遠鏡でのぞいてみると、小さな渦巻が見えたら、M51、子もち銀河です。二つの銀河は親子の関係などなく通りすがりの他人同志のような間柄のようです。コチラに向けて、ばっちり美しい渦巻を見せてくれる銀河、がんばっている自分への花丸💮と思って、見上げています。

真夜中近くには、南の空の低い位置にさそり座を結び、アンタレスと久々の再会。めぐる季節は、懐かしい出会いを運んできてくれます。いよいよ夏が近づいてきました。

さて、明け方の東の空が惑星大行進となっていますね。土星が先頭になって昇ってきます。早起きして東の空に注目です。早朝には明るくなってしまいますが、プラネタリウムだとわかりやすいですので、ぜひお出かけください。

最後に、嬉しいお知らせがあります♪
小野雅裕さん原作のプラネタリウム版「宇宙の話をしよう」が、静岡県焼津市にあるディスカバリーパーク焼津天文科学館にて6月30日まで、そして、7月1日からは姫路科学館のプラネタリウムで投影されます。
お近くの方は、ぜひ足をお運びください。


西 香織
コスモプラネタリウム渋谷「星を詠む和みの解説員」。幼い頃からプラネタリウムに通う。宇宙メルマガTHEVOYAGE 「エイハブの六分儀」で毎月の星空案内を担当。そそっかしく、公私ともに自分で掘った穴に自分でハマり(ついでに周囲の人も巻き込んで)大騒ぎしながらも、地球だからこそ楽しめる眺めを満喫する日々。
コスモプラネタリウム渋谷 https://shibu-cul.jp/planetarium


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