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トウシューズを脱ぐところから

新しい教室へと移ったのは、ちょうど4年生になるタイミングだった。

最近になって、あらためて娘に聞いてみた。
初めてこの移籍先の教室に見学にいった時のことを。

娘は、初めてスタジオに入るなり「こんな教室があるんだ!」と衝撃を受けたらしい。
前の教室と違い、広々としたスタジオ、同学年の子がいっぱいいて、その上そんなに上手な子がいない?あれ?と。
でも、ひとつ上の年齢層の子たちの特別クラス(週5以上通うクラス)のレッスンを見ると、急にレベルが上がってグッと上手な子ばかりの印象だったそうだ。
この教室の特別クラスは5年生からとなっていた。
つまり、5年生までは基礎しかやらせないバリエーションもさせないということ。
そして上のクラスに進んだら各々の体の成長や理解力の成長に合わせてレベルアップしていくようだった。
つまり最初の印象の、同学年に上手な子がいないというのは大きな間違いで、同学年の子は基礎しかやっていなかっただけのことだったのだ。

それまで自分の運動神経や勘で、年齢の割にはいろいろとこなしてしまっていた娘は、自分の基礎が甘いことに気づいていた。
だから、イチから学び直すことができるかもと思ったらしい。

そして娘と同じ学年の子たちはまだ一人もトウシューズを履いていなかった。
聞けばこの教室では、ひとりひとり履く時期が違うそうだ。
筋肉のつき方によっては他の子よりも遅くなるらしい。
先生がひとりひとりの骨格や筋肉、立ち方などを見てポワントを履く許可をだすそうだ。

なので入会を決める前に先生に聞かれた
「ここにきたらせっかく履けるようになったトウシューズを一度やめて、またしばらく履けなくなっちゃうけどいい?」って

娘もここの教室の方針に従い、小3になるタイミングから1年ほど履いていたトウシューズを一度捨てて、癖を直し、しっかり基礎から見直すこととなった。トウシューズを履く前の段階まで戻って目標を見直すこととなったのだ。
前の教室で、お友達のおまけで履かせてもらったようなものなのは本人も理解していたので、むしろちゃんと基礎からしっかり見直せるということに喜んでいた。

それでも、まさかここから1年以上トウシューズを履かずに過ごすとは思ってもいなかったようだが笑

たぶんここが彼女のターニングポイントのひとつ。
教室を変えたこのタイミングで、本人のバレエに対する向き合い方がグッと変わったのだと思う。

まだ小学生、幸いなことに学校でも友達に恵まれていた。
友達と遊ぶ時間を削ってまでバレエに邁進したいのか否か、居心地の良い馴れ合った環境から、友達もいない新しい環境に飛び込む勇気があるのか。
バレエを続けてどうなりたいのか、ちょっと先のことを考えるきっかけとなったのだと思う。
そして娘が覚悟しちゃったら、親も覚悟しなくちゃなんでねできる限り応援することを。
教室は変わってもやはり我が家の家計的には不安しかなかった笑


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