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「たかいたかーい」の請求書

同じ時期にトウシューズデビューした、娘の1才上のAちゃんが、その年の発表会でちょっといい役をつけてもらった。
ちょっといい役というのは1人だけでの出番があるのだ。

多分、先生は日曜日のクラスの件で親たちの空気がちょっと変わったのを感じ取っていたのではないかと考えてる。
日曜クラスに通っている子は特別いい役をもらえるという流れを作りたかったのではないかなと。

それでももちろんAちゃんはとてもうれしそうで、いっしょに頑張ってたAちゃん大好きな娘も大喜び。Aちゃんと同時期に始めた子たちは次は自分も!との期待も相まってワクワクした。

いい役と言ってもまだトウシューズを履き始めたばかりだ。
幕があがってステージ横からゲストの男性ダンサーのもとへ ちょこちょこと走って行って、リフトを1回してもらって捌けるというものだ。
ちびっこなので、リフトといってもバレエ素人から見れば "たかいたかーい"みたいな感じだ。

それでも、もちろんちゃんと練習が必要である。
そのためのレッスンが受けられることも子供たちはうれしいのだ。

だが、喜んだのも束の間、Aちゃんママに先生から請求書が渡された。
なんと、このリフト1回の料金がなんとプラス2万だった。

え?いい役をもらうと追加料金が徴収されるの?

しかも、この役のためだけに1着衣装が増えるので、衣装代も1着分プラス。ムシをつける作業も1着分増え、さらにこの衣装に合わせたバレエシューズ にもスパンコールをつけるという作業が親にのしかかったのだ。
つまり、この役専用のバレエシューズ も1足用意しなければならないのだ。
もちろん、リフト料2万円とは別途料金。

ちなみに、バレエシューズ にスパンコールをつけてという指示は発表会の前日に突然先生からの電話で指示され、Aちゃんママはすぐに手芸屋に走りスパンコールを闇雲に購入し、デコるという作業を当日までにしたそうだ。

この役は、例のお箸の持ち方の日曜レッスンを受けている子の中から選ばれる。
つまり、発表会参加費や衣装代など、発表会に出るためにかかる基本料金プラス、日曜レッスン代月謝と、2万円がプラスされるのだ。
ちょっと恐ろしくなった。

ただ1度のリフトで2万円?中学生くらいになると、男女二人で踊るパ・ド・ドゥというものがある。男性がいないバレエ教室ではゲストの男性ダンサーと組むことになる。そうなるとその男性ダンサーへの支払いが発生する。この時の発表会では高学年や中高生でメインで踊る子などの保護者の方はゲストダンサーへのお礼10万円とか20万円、さらにブランド物のプレゼントを別に用意してお渡ししていた。他に主役を踊った子は、バレエ教室の子供たち全員分のプレゼントを用意していた。もちろん娘もいただいてしまった。
憧れのお姉さんだからとても嬉しそうだったけど、総額いくら負担したのだろうか。もう、異世界すぎてこんな庶民がいていい場所じゃないのだと急に恐ろしくなった。

子供がひたむきにレッスンを積み重ね、上手くなればなるほど発表会でいい役をもらえ、子供も喜び、その姿をみる母も嬉しい。だが日々のレッスンが報われれば報われるほどに保護者への費用も嵩んでくるから困るよねという相反する気持ち。

あれ?月謝6,500円で始めたはずなのになぜこんなことに?







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