見出し画像

11月の関西旅行③唐招提寺、東大寺、春日大社いそぎあし

11月の関西旅行ふりかえり3日目(1日目:正倉院展2日目:国立民族学博物館)。

この日は奈良が初めての知人と合流することになっていた。せっかくなので、まあ、東大寺に行くべきであろう。王道を踏む。

待ち合わせが10時だったので、せっかくならそれまでにもうひとつくらい寺に行っておきたいところである。神社仏閣の良いところは早朝から空いている点だ。限りある時間をフルに使おうと思ったら、朝は地元喫茶のモーニングか神社仏閣。これに限る。
だが前夜に下調べをきちんとしなかったので、10時に奈良駅前に戻ってこられる社寺が意外とないことにここで気がついた。大安寺は便があまり良くなさそうだし、平城京跡は現地が広すぎて帰ってこられるか不安である。やむなく、西ノ京の方のお寺に一箇所だけ行くことにする。せっかくいくつも固まっているのだから、本当は色々見て回りたいところだが……ざんねん。

唐招提寺

画像1

画像9

画像2

空いていた。あとから行った東大寺〜春日大社に比べると雲泥の差。唐招提寺そのものも、ちょっとこぢんまりとした品のあるお寺なので、このくらいで見られるのがありがたい。

以前来たときは気がつかなかった気がするのだが、そのへんに邪鬼が座っていた。
仏道によって調伏された魔である彼らは、しばしば仁王像などの足元で踏みつけにされている。仁王の力強さ、仏道の正当さを示す表現と理解していいだろう。なんらかの新しい思想的原理が生み出されるとき、それ以前の「混沌的精神」かなにかを、怪物や鬼の姿で象徴し、新しい神やらなにやらがこれに勝利してみせる、という表現手法は、古今東西を問わず現れる。が、まあ、それはさておき邪鬼は大抵非常にキュートである。踏みつけにされた状態、の表現が、おかしみや一種の親しみさえ醸し出す。つぶれ大福の如しである。
ここの邪鬼はたぶん元は柱の下部構造だったのだろうか。頭頂(頭頂?)からお尻へ突き抜けるズシンとした重みがうかがえる。

画像4

行きのバスは山門の目の前に停まる。こんな目の前でいいのかってくらいの距離感である。が、帰りのバスは、受付のおじいさんに訊いたらちょっと歩くということだったので、帰りはお寺の裏の橋を渡って行く。奈良の町外れはこのうえもなくのどかだ。

画像3

東大寺

JR奈良駅で知人と合流し、バスで東大寺へ向かおうとしたが、即渋滞に巻き込まれた。人が……多い……
諦めて途中で降りて徒歩で向かったが、参道を進むほどに人は増えていく。鹿も余裕ぶっこいている。鹿せんべいを要求してきたりはしない。これだけ人がいたら食事には困るまい。

画像5

画像6

そんななか、東大寺の山門はちょっとアレッと思うくらい、なんというか……寂びた風情であった。いやこのくらいの方が好きなのだけれども、あんまり観光地然とすまいとでもいうような部分があるのだろうか。

画像7

画像8

奈良の寺はなんだか水平性が目立って感じられる気がする。大仏堂なんか随分高さもあるはずなのだけれども。梁かな? 寺社建築のことなんか全然知らないんだけど。梁が多いのかな? そのうえ間隔が狭いのかな? 当時の建築技術からくる強度の問題とかだったりするのだろうか。ともあれいにしえの格式ってやつを感じるお顔である(お寺も仏も)。

春日大社

東大寺を抜けて春日大社まで歩いていく。奈良は狭いようなつもりでいたが意外と遠い。段々人けがなくなっていって、建物もまばらになる。

画像11

ちょっと疲れたところで素敵なリノベーションカフェがあったので一服。急斜面に沿って建っていて、坂上から入ると2階のカフェ、坂の途中から入ると1階はドミトリー宿になっているようだ。その斜面を下って、春日大社へ入る。

画像11

大社の中へ入るとまた人でわちゃわちゃである。回廊を抜けて蔵の脇を通って……みたいな、結構入り組んだ内側を歩けるのが楽しいんだけど、半分くらいはしょってしまった。

気がついたのだが、道に立っている鹿は平気でおしりを触らせてくれるけれど(だいたい人が撫でていて立ち止まっている鹿を狙ってしまうのでそのような仕儀になる。よくない)、こういう鹿は絶対に近寄れない。

画像12

この辺りまで来ると、外の森は結構深く、その奥を鹿が走っていくのがちらり見えたりする。道にいる鹿とそうでない鹿は、当人たちははっきり物事を区別しているように見える。ごく浅い堀ひとつ、縄一本でも、彼らは人間たちと違う領域にいる。ましてや森の中をや。

画像13

バスでならまちのあたりまで出て、北上しながらごはんどころを探す。同行者のおめがねにかなったのは丼物屋だった。

画像14

外国語のメニューが豊富だし、天ぷら!かき揚げ!ドーン!でウケも良さそうである。私はかき揚げ玉子とじ丼などというハイブリッドなメニューを選んでしまった。歩き通しで疲れた体に濃い味が沁みる。

丼を食べ終わり、お土産でも買おうかと思って調べてみると、遊 中川の本店が近くにあるという。

せっかくだからということで行ってみた。町家を使った雰囲気ある店構え。奈良限定の柄があるふきんはお値段も手頃だしお土産に最適かも。
お店の奥にはティールームもあるので、時間に余裕があれば行ってみたかった。

さて、奈良の主要どころをぐるりと回った格好になる。
JR奈良駅に戻ってくると、ちょうど「奈良ノ空カラ」という手作り市が開催されていた。見たところでは、奈良はちょっとしたカフェにもクラフト作家物が置いてあったり、商店街の商工会の支援も手厚い様子がうかがえる。クラフト活動が盛んな土地、良いですよね。

駅でお菓子系のお土産を買ったら再びみやこ路快速で京都へ戻り、駅弁を買って新幹線に乗り込む。
今回の旅はこれで終わり。最後に欲をかいて奈良観光までし始めたので、まだまだ観たりないところがあるような気持ちにもなったが、国立民族学博物館正倉院展の二大目的はしっかり堪能できた。人が減ったらまた鹿と戯れに来たい。

最後まで読んでいただきありがとうございます。 もし応援をいただけましたらドイツ語の参考書を買います。