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映画『ちょっと思い出しただけ』 (ネタバレ感想文 )ちょっと沙莉を見たかっただけ

以前書いたかもしれませんが、私はテレ東の(フェイクドキュメンタリー)ドラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』(2016年)以来、伊藤沙莉ファンです。「樹木希林になれる逸材」だと常々言ってきましたが、まさか主役級の人気者に成長するとは。嬉しい誤算です。

そんな伊藤沙莉の『タイトル、拒絶』(20年)以来の主演作をちょっと観たかっただけなんですけどね。なんだか、伊藤沙莉出演作『ボクたちはみんな大人になれなかった』(21年)、池松壮亮主演『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17年)を立て続けに観た上、石橋静河つながりで『きみの鳥はうたえる』(18年)もたぶん近日中に観て、実は未鑑賞だった『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991年)も観るという大騒ぎになっちゃった。

グダグダ書きましたが、『ボクたちはみんな大人になれなかった』に似ています。あと、『花束みたいな恋をした』(21年)にも似ています。
大人になれなかった渋谷。花束みたいな明大前。ちょっと思い出した高円寺。どうも俺のテリトリーでは若者の恋愛が花開いているらしい。

この3本を比較したら、この『ちょっと思い出しただけ』が断然いいんですが、冷静に考えたら(というか先日発表された「午前十時の映画祭12」のラインナップを見て気付いた)この3本どれもこれも、オードリー・ヘップバーン主演『いつも2人で』(1967年)じゃないか。
スタンリー・ドーネン、こんな映画も撮れたんだなあ。

そういうわけで、『ナイト・オン・ザ・プラネット』もまだ観てないし、尾崎世界観が我がスワローズ党であること以外クリープハイプについて語ることもないし、「なんだ『いつも2人で』じゃん」で終わっちゃうんですが、やっと本題に入ります。褒めます。

運転席の伊藤沙莉と助手席の池松壮亮が、話しているうちにだんだん険悪なムードになってくるワンカット長回しで痺れたんですよ。
撮影技術というより、二人の演技。
ビックリするほど自然に、二人の仲が壊れていく。

タクシー運転手になった理由を問われた伊藤沙莉が答えます。

「どこかに行きたいけど、どこに行きたいか分からない」
「お客さんに行き先を決めてもらえる」

彼女は芝居をかじっていたという過去もあり、元々「自分探し」をしていたのでしょう。
どこかに行きたい。でも、どこへ行ったらいいか分からない。
そんな彼女は、自分の「人生の行き先」を彼氏に託したのです。
でも、彼が新しい道を教えてくれたのは最初だけ。次第に「鳥貴族」にしか行かなくなっていく・・・。

ドラマは夜に生まれ、
「ああ、そんな夜もあったな」と
ちょっと思い出しながら、朝を迎える。
そんな私小説的物語。

余談
『ちょっと思い出しただけ』 『ボクたちはみんな大人になれなかった』『花束みたいな恋をした』以外にも、同じ松居大悟の『くれなずめ』(21年)とか今泉力哉『あの頃。』(21年)とか(どっちも観てないけど)、最近ノスタルジーものが多くて気味が悪い。これ、どういう流行なんだろう?

元ネタ『ナイト・オン・ザ・プラネット』を観たので追記
この映画は「同じ日を軸とした6年間」の話ですが、元ネタは「同じ時間の5都市」の話です。各エピソードの繋ぎは「時計」。この映画で各エピソードを「暦」で繋いでいるのはオマージュかもしれません。
あと、高岡早紀はジーナ・ローランズ。ちょっと言いたかっただけ。

監督:松居大悟/2022年 日(2022年2月11日公開)

(2022.02.20 アップリンク吉祥寺にて鑑賞 ★★★★☆)

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