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如月短歌 20首vol.4

1.深き霧 いつかの高原 思い出す
怖くて何度も ブレーキ踏んだ
 

2.何もかも 煩わしさを 断ち切って
真っ暗な海に 潜っていたい

3.蝋燭の 炎が揺れて 立ちすくむ
この寄る方ない 気持ちをどこに

4.英語にて 喋る瞬間 脳の中
スイッチ入り 主張強めに

5.青い空 高校生たち そぞろ帰る
もうそれだけで 胸熱な風景

6.連絡先 整理する時 胸チクリ
紙の手帳も スマホも同じ

7.檸檬色 ミモザの花束 目を引いて
ああ春が巡る 今年もまた

8.恋愛とも 友情とも 定義されぬ
ただ曖昧な 関係でいたい

9.ハスキーな 無名の君の 歌声に
心震わせ 涙うるうる

10.薄暗い 喫茶店の中 真緑の
追憶浮かぶ クリームソーダ

11.この気持ち わかってほしいと 
同じだけ 
どうでもいいやと 投げやりもある

12.雨の中 参拝客が ぽつぽつと
眼差し真っ直ぐ 皆何祈る

13.丁寧な 暮らし謳う YouTube
いやパスタそれ レンチンしてる

14.肉球を スリスリしたり 匂ったり
猫がもたらす 幸せ無限

15.猫の目は 雄弁過ぎて 虚を衝かれ
こちらの気持ち とうに見透かし

16.愛しいと 依存の違いが 曖昧で
見えない何か 掴もうともがく

17.点描の 絵画は何故か 人生みたい
俯瞰しないと 何も見えない

18.居酒屋の 喧騒の中 独りきり
僕の周りは 真空地帯

19.図書館の 隅でひっそり 待つ本の
インクの匂いに ふと振り返る

 
20.人知れず 荒れ狂う海 南洋の
叩きつける雨 夜を劈(つんざ)く

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