見出し画像

如月短歌 27首vol.3

1.日毎増す 太陽の光 眩しくて
窓を開けると 東風(こち)が吹きゆく

2.ライブ後は 君の曲聴く 熱心に
一音たりとも 漏らさぬように

3.バレンタイン この気持ちを 届けたく
スマホ入力 消す繰り返す

4.迫り来る 立山連峰 雪湛(たた)え
思わず視線を 奪われて尚

5.アトピーの 君の背中は ガサガサで 
指が今でも 触りたがってる

6.音楽を キーホルダーで 持ち歩く
ノスタルジーは 手のひらの中

7.待ち侘びる 君から返信 まだ来ない
スクロールして ピヒョホと変音

8.西の空 青から紅に 暮れなずむ
このバイブスに 目を閉じ浸る

9.豪州の 植物柄の ティータオル
色鮮やかに 花弁が歌う

10.夫婦など 太陽の周り 永遠に
行き交う惑星 異なる軌道

11.轟々と 空が狂った 春嵐
遥か遠くに 全てを捥ぎ取れ

12.悲しみの 中に微かに 怒りがチラと
君はいつでも 澱(おり)を抱えて

13.テーブルに 置かれし君の 手の甲の
血管浮き出て たまらなく好き

14.君からの LINEの返信 読み返す
暗記するほど でもまた開く

15.これからも ずっと見てるよ 君の眼を
地球を照らす 恒星のように

16.煌々と ネオン彩る 新宿は
誰も等しく 孤独を纏う

17.コンビニで みたらし団子 思い出す
マレーシアの君 好物だったな

18.早咲きの 桜が見えて パッと撮る
送る相手も 居ないのに何故

19.巫女さんの 袴の赤が 境内に
令和の今も 平安息づく

20.しんしんと 更け行く夜に 火を灯す
一人ぼっちの 冬の花火よ

21.フワフワに 乾いたタオル 顔埋め
お日様の匂い 立ち込める時

22.後朝(きぬぎぬ)の 君からLINE そっけなく
それでもフフフ 喜び隠せず

23.憎しみの 内なる声が こだまする
ざらりの感触 やがて薄れて

24.ぼんやりと 頭に霧が 浮かび消え
ただひたすらに 包丁を砥ぐ

25.窓の外 慈雨を眺めて 君を想ふ
雨粒一つに 宇宙が見える

26.どこに居ても 誰と居ても うっすらと
膜に覆われ この疎外感

27.断捨離を サクサク進めて アルバムに
懐かしモード 全開まったり

この記事が参加している募集

つくってみた

今日の短歌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?