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花束みたいな恋をした

「花束みたいな恋をした」を見た。

邦画を見るのは珍しい。
ちょっと食わず嫌いしている部分もあるかもしれない。

映画マニアの友人(かつ、彼が勧めてくれた映画は大体私も大好きなので多分感性が近いと思う)が勧めてくれたので、見てみた。

タイトルと、恋愛映画だという認識と、菅田将暉と有村架純主演
という情報だけから勝手に想像していた内容とはだいぶ違って、
とてもとても面白かった。

いくつか思ったことを書き残しておこうと思う。

そ、その前に簡単〜にあらすじ。(※ネタバレありです)

主人公の絹ちゃんと麦くんは、大学生の時に、お互いに好きなもの(文学、映画、音楽などで、かついわゆるサブカルチャーに分類されそうなコンテンツ)が一致していたことをきっかけに付き合うようになる。大学卒業後お互いフリーターになり同棲を始めるが、お互いに就職してフルタイムで働くようになってから、生活や考え方がすれ違うようになっていく。会社で長い時間働く麦は、今まで好きだった文学、演劇、漫画などに触れなくなり、代わりに自己啓発書を読んだり、好きなことをしたいという絹ちゃんを否定したりするようになる。そして結局、最後は別れを選択する。

という話。(ざっくりです)

この映画を観て、いくつか思ったこと。

1つ目。
会社員になった後の麦くんと、
大学を卒業して割とすぐ後の自分の姿が重なった。

就職して1、2年目の頃、まだまだ仕事もわからないことが多く
ストレスを感じながら必死で長い時間働いていた。
その時私には、博士課程に在籍していた彼氏がいた。

彼はいつも、しんどいと言いながら仕事する私を見て言っていた。
「もっと好きなことをしなよ」と。

でも私には、「稼いで」いない人が何を言っているんだ、
と正直受け入れられなかった。
私はお金を稼いで自立するために嫌なことも我慢してやっている。
あなたはそれをしていない。
それができるのは経済的なサポートがあるからだ。
好きなことをしながら稼いでいるなら言って良いけど、
そうじゃない人に言われても。
ずるい、と心のどこかで思っていたんだと思う。
だから、仕事の話になるとイライラするようになっていた。

我慢ばかりしている人間
自分の状態に納得できていない人間
好きなことをしていない人間
は、

我慢していない人
好きなことをしている人
を見てだんだん許せなくなってくる。
「この人は甘えている」と感じるようになる。

それはとても良くないことだと今ならわかる。
同じような人ばかりと一緒にいることになってしまうから。

でも当時の私には本当に余裕がなくて(今もそんなないけど)、
麦くんの気持ちも結構分かると思ってしまった。

2つ目。
高校生や大学生で知り合って付き合い始めて、
それからお互いに働き始めて、それでずっと続いていたり
結婚したりして上手くいっているカップルはすごい。

環境が変われば、生活が変われば、
考え方や価値観も変わっていくのは自然なことだと思う。
特に学生から仕事をするようになる時期は色々な意味で変化が大きい。

それを乗り越えてそれでもお互いをちゃんと好きで、
同じ方向を向いて歩いていける、っていうのはすごいことだと思った。

もちろん環境の変化価値観の変化はある程度の年齢以降になっても起きることで、学生→仕事してる人、の変化だけではないだろうけど。

3つ目。
「この人が好き」ってどういうことなんだろう。

映画で、絹ちゃんと麦くんは、「同じものが好き」をきっかけに
仲良くなっていた。そしてそれからも、同じものを一緒に楽しんでいた。

共通の趣味、好きなもの、
そういうものは友達でも恋人でも仲良くなるきっかけには当然なると思う。
でも、「同じものが好きだからこの人が好き」は、
「その人自身が好き」ってことになるんだろうか。
ならないと思った。

もちろん映画で2人が別れてしまったのは、
「同じコンテンツを楽しめなくなったから」だけ、ではない。
でも、それも大きな要因だったように思う。
絹ちゃんと麦くんはコンテンツで繋がっていた。
それがなくなってから、上手くいかなくなっていった。

大人になればなるほど、「同じものが好き」ってどれくらい、
人と人が親密になる/親密である ことに重要なんだろう?
(そんなに重要じゃないんじゃないか?)と思うようになってきた。
自分だって、趣味も好きなことも、
数年前と比べたらガラッと変わっている部分もある。

ついでに書くと、よく言われることかもしれないけど、
「嫌いなものが同じ」方が大事だよね、と思ったりもよくする。

など、色々な感想を持ちました。
多分大学生の時に見ていたらこんなに色々感じなかったと思いますが、自分も大学を卒業し一応、会社員というものを6年ほどやってみてから見ると、とてもとても色々な感情が出てくる映画でした。

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