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祖父との備忘録

今日も起きれました。

今日は疲れががっつり出たのか、起き上がるのに随分と時間が掛かりました。明日の天気は雨と聞いたので、なんとなく最近近くに出かけたスーパーに行きました。
開店セールっていいな、なんて思いながら、平日だというのにだいぶ混んだスーパーでお昼ご飯を買いました。

帰宅後、ぼんやりとリビングで弁当をつついているとスマホが震えました。
母からでした。



祖父の訃報でした。

ああ、と思いました。
一応無職なことを言っていないので、仕事をしている体で『分かりました』とだけ返しました。

母方の祖父のことが苦手でした。
祖母のことはお母さんになって欲しいくらい大好きでしたが
祖父のことはそんなに好きじゃありませんでした。
テンションがやたらと高く、運転は荒い。
私が買い物をしていると知らん人に話しかけまくっているので、目を反らせない。
私が面倒を見ているような気分でした。子どもの頃から。
祖母も母も呆れたような表情をいつもしていました。

でも祖父の部屋は好きでした。
4畳くらいの部屋にぎっちり詰まった漫画や小説。
祖父の部屋にはこち亀が全巻あったので、行く度に何回も読みました。
そんな祖父は『俺が死んだらこち亀は全巻当麻ちゃんにあげよう』と口癖のように言っていました。
私も子どもながらに凄く魅力的だったので、随分と嬉しかったのを覚えています。

大学生のころ、祖母が亡くなりました。
私は随分泣きました。
本当に本当に悲しくて、一週間くらい事あるごとに泣きました。
葬儀の時にあった祖父は随分とよろよろして三本杖を突いていましたが、元気そうでした。
納棺の時に「後で行くから、先に待っていてくれ」と祖母に声をかけ手いたことは凄く印象的でした。
納骨の時には祖母の骨を粉砕した祖父。
「お母さんも心安まらないわね」と、ずっと泣いていた母が笑ったのにつられて、私も笑いました。

それから一度だけ、祖父に会いました。
葬儀から約1年後のことでした。
祖母のいなくなった家は荒れていて、辛うじてヘルパーさんによって掃除されていたキッチンとトイレとお風呂以外は見るも無惨でした。
散らばったゴミと本。
掃除しようにもできない。そんな感じ。
それでも、あの時の祖父は確かに私を認知できていました。
料理も辛うじてできて、ゴミ捨てにも行けて、デイサービスにも通えている、そんな状況でした。

約1年後、祖父が入院し、認知症が悪化し、要介護にあがったため施設に入ると母から連絡がありました。
介護士の私にはそこそこ知識があったので、グループホームに入ると聞いたとき、若干嫌な予感はしましたが「祖父がそこで少しでも楽しく過ごせるならそれでもいいか」と思いました。

そして今月の頭、祖父が要介護5まで上がり、もう食事も取れない状態だと言われました。今月持たないと。
施設に入って半年強でした。
ショックで言葉が出ませんでした。
半年で、そんなに介護度が進むなんて。
食事が全介助になるくらい進むなんて。
もう言葉も発せられないなんて。
信じられなかった。
悔しかった。
元とはいえ介護士の私は母から「面倒を見れないからと施設にお願いした私たちが悪い」と出てきたとき、本当に悔しくて悲しくてしかたなくて。
そんな急激に介護度が上がるなんて信じられなくて。
仲の良かった利用者の看取りをしたことがあるので、祖父の状態がどんな感じなのかは大体予想がついて、私は、私は本当に悲しかった。
現場を知っている以上、施設を責めることはできないが、凄く嫌な気持ちになりました。
最後にこんな思いをさせてしまって、本当にごめんなさい。


先週、実家に帰りました。母と話をしました。
「だいぶ良くなったから今日明日で、ってことはない」と。
少しだけ安心しました。
経管栄養も試すことにしたと。
「でももう無気力だから」と母は悲しそうに言っていました。
施設にいた頃のことがフラッシュバックしました。
亡くなる寸前の利用者のことを思い出したんです。
それでも介助を続けることに、エゴじゃないかと思っていました。
でもいざ身内になれば私は、まだ少しでも生きられるなら、と思ったんです。

理不尽ですよね、自分が危なくなったら延命はするな、と配偶者にお願いしている私なのに。

こんなのただの自己中ですよ。


そして今日でした。
不思議と涙は出なくて、なんとなく実感のないような感じでした。
それで、ただの備忘録としてこれを書こうと思ったんです。
でも、なんか書いているうちに苦しくなって、不思議と涙が出てきて。
まぁ、キャンセルしなきゃいけない予定も出てきたし。
こち亀200巻本当にくるんかとか。
私に優しい人がまた一人いなくなってしまったんだとか。
最後に嫌な思いをさせてしまったなとか。
こんな文章をエッセイに投稿するずるさというか不謹慎さもあるのだけれど。
私はこういう形でしか、気持ちを吐き出せないからどうか許して欲しいとか。
いろいろ、ほんとうに、あるのだけれど。

こうやって父方の祖父母も、親も、友達も、もしかしたら配偶者も。
私は、生きてる間にこんな思いを何回もするのかと思って。
そうなるとやっぱり誠実に生きていかなきゃと思うそんな日でした。
きっと、こんなせかいより、おばあちゃんに会いに行った方が、おじいちゃんも幸せだと、孫として思います。

おじいちゃんお疲れ様でした。
ゆっくり休んでね。
週末会いに行くからね。

そんな感じです
それではおやすみなさい





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