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#向日葵

向日葵の音

 太陽は花を求めている。眼下に広がる無数の花にいつも焦がれていた。距離はわずかに一億五千万キロに満たない。年をとればとるほど熱を帯びるから、太陽には触れるのに造作ない距離だった。それでも、触れてはならないと心のどこかで思っていた。優しくて柔で繊細で、太陽が少しでも触れようものならみんな消えてしまうだろう。それほど弱いのに、花というものはいつまでも強く毅然と咲いていた。

 なかでも太陽が一番好きな

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