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ぺの
2024年4月27日 22:28
音はしない。いつも見る夢だ、と彼女は言う。果てしない遠くのほうまで、水面が広がっている。見渡す限り、水面が続いている。ところどころ群生する木はさして背が高いわけではない。何かにしがみつくようにまとまって生えていて、それがまるで水田のなかにぽつんと残った祠を守っているような唐突さがあるのだという。彼女はいつもそこに立って、ただ立って周りを見渡している。木になったような気分になるというのだ。