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#カラス

カラスの罪と手配書

 闇夜にまぎれて、男はレンガ敷きの道に高い靴音を響かせていた。深くかぶった帽子も長い外套もこの街で特に珍しい服装ではなかったが、それがこの男にとっては好都合だった。木枯らしが吹く乾いた道を黙々と歩く。

幾分か疲れた。人を殺すのに人を生むほどの疲れは伴わずとも、作業は多い。苦痛はもはや伴わないが、人を殺す快感と人を生む喜びは等価に近いと男は思っていた。女が産むことに喜びを感じるのなら、男が殺すこと

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