みんなのビジネスランチのモヤモヤ‥ 解決のカギはパーソナルスペースのつくり方?
こんにちは、ぺんきち@Blabo!です。
共創コミュニティサイト「Blabo!」に投稿されたユーザーボイスから、インサイトや商品開発のヒントを探っていく『Blabo!コラム』。今回のテーマは、仕事の日のランチ『ビジネスランチ』です。
仕事の息抜きであり午後の活力にもなるランチタイムって重要ですよね。必ず外で食べてリフレッシュしている!という方も、あまり時間がなくてお腹に詰め込むだけ‥という方もいるかもしれません。また、お弁当持参だったり、ワゴン販売で購入したりと、食べるものもスタイルも人それぞれでしょう。
今回は、そんなビジネスランチに関する”モヤモヤ”を、ユーザー(※1)に問いかけることからビジネスランチのインサイトを発見し、そこから何か新しい商品やサービスのアイデアを考えられないか、を探ってみました。
◆”ビジネスランチのモヤモヤ”って?
今回、ユーザーに問いかけたお題は下記のものになります。
皆さんなら、このお題にどのような回答をされますか? 献立やメニューのこと、時間や場所といった制約のこと、お勤め先の独特なルールや慣習、食べたらなぜか眠くなる‥。いろいろなモヤモヤがありますよね。
今回のお題をアップする際、私たちは「やはり献立やメニューに関する話が多いのかな」などと考えていたのですが、その予想は全くのハズレでした。むしろ、モヤモヤとして多く挙げられたのは、一緒にランチする相手やその場所、時間帯といった内容だったのです。もちろん、社員食堂や外食のバリエーションが少ないなどのユーザーボイスもありましたが、多数派ではありませんでした。
ということで、まずはモヤモヤが多かったランチの相手や場所、時間帯などに関するユーザーボイスを実際にいくつかご紹介していきます。
◆誰と、どこで、ランチを食べている?
ランチについて、午前と午後を切り替えるリフレッシュタイムだったり、仕事している場所から離れて気持ちを休める時間、と考えている人は多いと思います(このコラムを書いている私もその一人です)。
それなのに、会社の人と一緒だったり場所も代わり映えしなかったりして、オフィスで仕事しているのとあまり変わらない、リフレッシュにならない・・・といったモヤモヤが数多く寄せられました。
前の会社ではお昼に同じ部署同士で固まって、仕事の話をしながら食べていたので。昼休みくらいは仕事から解放されたいと思います
節約しようと安い店や社内で食べていると、社内の人に話しかけられて調子を合わせなくちゃならないとか、お菓子のお裾分けをされたりとか。午後に向けて気持ちを切り替えたいのになー
上司の気分で、コテコテ中華を昼から食べさせられるのがうざいです。昼からご飯をいっぱい食べると眠気で集中力が欠けるのに。人間関係のビジネスランチって、モヤモヤがいっぱいです
職場の狭い休憩スペースで苦手な人と顔を付き合わせ、社交辞令の会話をしながら食事をする休憩時間にストレスを感じます。職場外に休憩時間を過ごせるスペースがあったら是非利用したいです!
職場内に休憩場所はあります。レンジやポットもあり充実していますが、ひとりでゆっくり過ごせません。15分程度の仮眠をとると午後の仕事も捗るはず。簡単な私用も気兼ねなくしたい。会社外に安価で、レンジとポットくらいが置いてある解放スペースがあったら
「ランチタイムくらいは一人でゆったり過ごしたい」という声に対しては、否定的な見方をする人もおそらく一定数いるのではないかと推測します。また、社風や制度的に実際には一人で過ごすのが難しいというケースもたくさんあると思いますが、ここでは、まずそのようなニーズが確実に存在する、という事実を認識しておくことが大切だと感じます。
なお、ユーザーボイスからは、「職場の外に、一人で自由に過ごせるスペースがあったら」という声がモヤモヤとセットで語られているものが多く見られ、ここには非常に強いニーズが感じられました。これについては、このコラムの後半で具体的なサービスアイデアを考えたいと思います。
◆みんなが12時に出るから混み合う!
もう一つ、モヤモヤが多く挙がったのが「時間帯」に関してです。
好きな時間にランチに出られる会社も多いと思いますが、一方で「12時」など固定されている会社もたくさんありますよね。特に、製造業の工場や、社員食堂があるような大規模な事業所、電話が多いなどで決まった時間の着席が求められやすい職場などに当てはまることが多いようです。
これに関しては、単に「混み合う」というだけではなく、「店に入れず探し回る、待たされる」などで時間を浪費する、「ごみごみする、バタバタする」といった理由で全然休まらない、など多くの人が同じ時間に一斉に行動するためにせっかくの昼休みが思い通りに過ごせない、というモヤモヤにつながっているようです。
昼休みの時間はどこの会社も大体同じなので、お店に並ぶだけで昼休みの時間がなくなってしまう。例えば11時から14時の間の好きなタイミングで昼休みが取れればゆっくり食べられる
私の会社の周りは飲食店が少なく、ちょっと出遅れるとどのお店も満員となり、ランチ難民になってしまいます。そうなると、ものすごく時間をかけてコンビニ弁当を買って戻る羽目に
気分転換にランチに出かけ、混んでいて並び、相席。やっと来たランチを慌ただしく食べ、デスクに戻るとお昼休みはあと10分。他の用事も済ませられない
日本は12時になった途端、一気に人だかりができます。休憩をズラして取れば、その1時間を有効活用して仕事が進む人も、その分早く帰れる人も出てくると思います。休憩の取り方改革も考えて欲しいです
◆ランチタイムはどうあってほしい?
さて、ユーザーボイスとして多かった「一緒にランチする相手や、その場所」と「時間帯」ですが、これらをよく見ると、そのモヤモヤの根底にあるインサイトはどうやら同じなのではないかと思えてきます。
先ほども少し述べましたが、「ランチタイムは一人でゆったり過ごしたい」という考え方については、特にそれが当然と思ってきた方を中心に否定的な捉え方も少ながらずあると思います。
このところ、夜のいわゆる「飲み会」については、個人の意思を尊重して参加の強要を避けようという風潮も少しずつ高まっているように感じますが、ここはランチも同様かもしれません。ランチタイムをコミュニケーションの場とするか、個人のリフレッシュのための時間とするかは、本来的には価値観の多様性として認識されるべきことなのではないかと感じます。
◆新しいアイデアを考えてみよう
では、このインサイトを踏まえて新しい商品・サービスのアイデアを少しだけ考えてみたいと思います。ランチタイムにおけるパーソナルスペースの確保という点にフォーカスして、その時間に外出できる人向け、自由に外出できない人向けの2案を考えてみました。
なお、「時間帯が集中するからゆっくり過ごせない」というモヤモヤについては、企業の事情による制約も大きいと考えられたため、今回は議論の対象とはしませんでした。ただ「ランチ12時」という固定観念だけで、何となくランチを12時にしている企業が多いようであれば、そこはランチタイムの過ごし方の多様性についての理解が深まることで、少しずつ改善されていってほしいなと思います。
◆アイデア1:「おこもり願望」をかなえるサービス
1つ目は、職場の外に「一人でゆっくり過ごせる(おこもりできる)場所を提供する」サービスのアイデアです。ユーザーボイスにあったニーズを、「その時間に、会社の外に出ることが可能な人」を対象としたサービスとして具体化したものとお考えいただけたらと思います。
1~3は環境さえあれば比較的すぐに実現できそうな気もしますが、「ランチの場所提供でどうやって収益を出すのか」という問題に直面するはずです。4,5はそれに対する具体的なアイデアで、広告モデルで収入をあげ、固有資産を持たないことでコストを抑えることで、収益をあげようとするものです。損益分岐などをきちんと計算したものではないですが、立地や規模、ユーザーの属性などによっては可能性があるのではないかと考えました。
なお、収益源については、社員食堂を持たない近隣の企業向けに有料チケットを販売する、という案も浮かびましたが、それでは「同じ職場の人と過ごしたくない」というニーズが満たされなくなるためアイデアから外しました。安定収益についてはやや難しい問題がありそうです。
◆アイデア2:組み合わせ自由で意思表示もできる一人用テーブル
2つ目のアイデアは、企業の社員食堂などにまとまった数を導入してもらうことを前提とした家具商品で、その時間に自由に外出できない(社内でランチする)人の課題解決を狙ったものとなります。
もし、色とりどりの移動型テーブルがあったら、あちこちに花が咲いているみたいで、気分も楽しくなるかもしれませんね。
こちらの商品アイデアの実現には、企業に導入してもらうという点が間違いなく最大のハードルになることと思います。ここでもやはり「ランチタイムの過ごし方の多様性」についての理解を深めていく啓発活動が重要なキーになってくるものと思います。
◆おわりに
今回は、「ビジネスランチのモヤモヤ」というお題から見出されたインサイトを元に、サービスや商品のアイデアを考えてみました。有益なユーザーボイスが多くあることで、意外な切り口からアイデア発想を広げられた面白い事例になったと思います。実現には、社会や企業のルールや慣習が存在する中で難しい部分もありますが、ちょっとしたことからでも世の中がよくなるようにトライしていきたいですね。
「Blabo!」では常に様々なテーマのお題を公開しており、ユーザーボイスの募集だけでなく、ユーザーとの対話を通じたアイデア創発支援などのプロジェクトを行っています。ユーザーとして声を届けたい方も、プロジェクトに関心をお持ちいただいた方も、どうぞお気軽にアクセスしてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※本コラムで紹介したユーザーボイスは、できるだけそのままご紹介していますが、一部で抜粋や文言修正などを行っています。また、これらの著作権はすべて株式会社Blaboに帰属します
※今回のお題に対するユーザーボイスは下記のサイトにて見ることができます
https://bla.bo/boards/1385
※1)ユーザー:Blabo!に登録している生活者の皆様
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