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28.素敵なハロウィンが来ますでしょうか。

一年に一度、僕の顔はキャンバスになります。

比喩でも何でもなく、まっさらなキャンバスになり、絵が描かれるのです。

どうしてだと思いますか。
芸術家だからでしょうか?自己表現のためでしょうか?

いいえ。違います。


僕は10月のある日、長時間に渡り、目を閉じます。身動きはせず、ただ呼吸のみを繰り返します。
視覚情報が閉ざされた中、筆先に塗られた、少し水分を含んだ絵の具の感触を直に感じるのです。


筆が進むたびに、塗り重ねられた絵の具が分厚い層を作り、肌が覆われてくような感覚になります。まるで顔面塩釜焼きを味わっているような気分です。

目、鼻、口、頬、おでこ。
ありとあらゆるパーツに筆が運ばれます。
その間中、絵の具の匂いが鼻を刺激し続けます。

頭の中で思っていることは、一つだけです。


「顔が、かゆいなぁ。」


妻のルンルンの鼻歌、時折聞こえる悲鳴のような「失敗したっ!」という声。「動かないでっ!」という怒号。


何が描かれているかもわからない中で、身動きを禁じられ、呼吸のみを繰り返し、やはり思うのです。


「顔が、かゆいなぁ。」


タイトルからも分かる通り、顔に絵を描かれる日はハロウィンです。


若者が渋谷ではしゃぐ様子が問題になって早数年。

1人の若者は、誰に見せるでもなく、自室で妻に顔ペイントを施されるのです。

妻の顔ペイントは、やや独特です。


顔面ペイント初年度。
描かれたのは、「アフリカの民族が顔に書いてそうな模様」です。





妻の満足気な顔を今でも覚えております。



顔面ペイント2年目。
描かれたのは、「オカメインコ」です。
この年は、僕も、そして妻も認めるほど悲惨でした。





オカメインコの絵を僕の顔に描いたのではございません。敗因は僕の顔をオカメインコの顔にしようとしたことです。

頬を赤く塗り、顔の大半は黄色と白で塗られました。目元から鼻と口周りにかけてはねずみ色です。

一言で言うと「とても汚い顔面」が出来上がってしまいました涙


鳥の色合いは、鳥だからこそ可愛いのです。
つぶらな瞳、立体的な口ばし、羽毛に覆われた小さくて健気な顔。この条件だからこそ、カラフルな色合いが成り立つのだと、身に染みて感じました。


顔面ペイント3年目。
前年の反省を生かし、妻は初めて置きに行った絵を書きました。
この年に大ヒットした映画「ジョーカー」のペイントです。



ジョーカーも、人です。
人に、人のペイントをするのは容易い!
ペイントは大成功です!



今年もハロウィンが近づいております。
絵だけではなく、刺繍や服飾を覚えた妻は、いったいどのような催しをするのでしょうか。。



乞うご期待でございます。

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