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54.おもしろくない世の中で

おもしろさを見つけられる人は強い。それは、世界がおもしろくないからだ。

だから、人類は発見する必要があった。歌や、踊りや、ものがたりが、<表現>が、この世に絶えたことは、人類創世以来、一度もない。

「退屈な文章を書く人」「名文家」の決定的な差 というネット記事の中に上記のような記載がありました。

ふむふむ、と感心したので引用させて頂きました。

引用部分は記事の締めくくりとして記載されていて、個人的にはインパクトがある結びでした。
本当に<表現>は人類にとって必要不可欠なんだと、改めて感じたからです。

おかげで、前段でどのような内容が書かれていたのかをすっかり忘れてしまい、「退屈な文章を書く人」「名文家」の決定的な差が何だったのかを忘れてしまいました。


「面白き 事もなき世を 面白く すみなすものは 心なりけり」

高杉晋作(江戸末期の長州藩志士)が詠んだ歌があります。有名な歌なので知っている人も多いかもしれません。 

「面白くない世の中を、面白くできるかどうかは自分の心次第」

といった意味の歌です。

僕も、自分自身の気の持ちようで、世界の見え方は変わると思っています。
「病は気から」なんて言葉もありますし、心の在り方は、生きていく上ではかなり重要なのでしょう。




イソップ寓話に「3人のレンガ職人」という話があります。

旅人がある町を歩いていると、汗を流しながら重たいレンガを運んでは積み、運んでは積みを繰り返している3人のレンガ職人に会う話です。

旅人は尋ねました。「ここで何をしているのですか。」

この問いに対し、レンガ職人は3者3様の返事をします。

1人目のレンガ職人は答えます。

「そんなこと見ればわかるだろう。命令を受けてレンガを積んでいるんだよ。暑くて大変だからもうこりごりだよ。」

2人目のレンガ職人は答えます。

「ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。金も結構もらえるんだ。」

3人目のレンガ職人は答えます。

「レンガを積んで、後世に残る大聖堂を造っているんだ。こんな仕事に就けて光栄だよ。」


こちらも有名な話なのでご存知の方も多いと思います。

3人とも仕事の内容は同じです。

違うのは「仕事のとらえ方」です。

現実においても「こんな誰にでもできる仕事、やりたくないよ。」と自分の仕事をネガティブに捉えている方も少なくないかと思います。
イソップ寓話の話を持ち出した僕でさえも、残念なことに1人目のレンガ職人に似た気持ちで仕事に取り組んでしまうことがあります。

仕事を楽しむことが大事、というのは頭ではわかっていても実行するのはなかなか難しいです。



「退屈な文章を書く人」「名文家」の決定的な差は2021年に書かれた記事です。

高杉晋作が歌を詠んだのは江戸時代。

3人のレンガ職人は中世ヨーロッパのお話です。

と、ここで僕は思うのです。

おい、世の中!お前いつになったらおもしろくなるんだっ!!!

過去から現在、国内から世界に至るまで、多種多様な表現方法で世の中の面白く無さが語り継がれてるじゃないか!!




と。


柄にもなく取り乱してしまいました。失礼いたしました。


まあ冷静になってみると、ぼーっと生きていても面白いことは起きません。自分から何か行動を起こして初めて「面白いっぽいこと」に巡り合えたりします。


僕は結婚1年目で新婚生活を満喫しているので、何もしない日があったとしても「楽しい一日だった!」と胸を張って言えます。
でもこれから先の未来は、どうなるかはわかりません。今のコロナ禍だって、ほとんどの人にとっては想定外の出来事なはずです。


今が楽しかったり、面白かったりしても、明日がどうなるかは誰にもわかりません。


何かに夢中で面白いと感じられるときは、心の在り方なんて考える必要もありません。


きっと、ネット記事の結びも、高杉晋作の歌も、3人のレンガ職人の話も、世の中を楽しんでいる人に向けて書かれたわけではないと思います。
大事なのは、楽しいときの心の在り方ではなく、楽しくないときの心の在り方なのですから。


ちなみにたとえ嫌なことがあったとしても、noteを書いているときは、それを忘れることができます。
文章を書くことは、それなりに頭を使う作業だからだと思います。
読書をしているときも同じ感じです。物語に没頭して、世の中から離れることができます。


妻と話をしていても気持ちが落ち着きます。
何事も誰かと会話ができたら、頭の中が整理されていくんでしょうね。


自分なりの気分転換の方法があれば、面白くない世の中でも、生きやすくなるのだと思います。

面白くなる、とまではいかなくても。


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