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アルパカの逆走

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2020年4月の記事一覧

平均より少し広いおでこ

「おでこに太陽の光を80秒間当てると、おでこが太陽になる」と小学3年生のとき初めて同じクラ…

吉田猿滑
4年前

5分後の気配

「基本的に踏切警報機の音は僕は嫌いなのだけれど」と繰り返される赤い点滅を遠目に見ながら彼…

吉田猿滑
4年前
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風の輪郭というのは夏の光にのびる青葉のようなものでして

日曜日の夕方、彼女はなにも思い出せなかった。時計を確認しまた俯いてしまう彼女の瞳は風の吹…

吉田猿滑
4年前

歓声的出来事

「ライオンが空を飛ぶ」というタイトルを頭に思い浮かべてみるとそれは太陽と月がハイタッチす…

吉田猿滑
4年前
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空の中に重い泥が詰まっている。触れたくも踏みたくも見たくもない漂う汚い泥である。どこにで…

吉田猿滑
4年前

満月に照らしだされた盲点

雲。 テレビの画面を割るたびに割ったことを後悔する。余計なお菓子を食べたときみたいに。 …

吉田猿滑
4年前
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午後5時のメロンパン

メロンパンを最近食べていない。メロンパンとメロンクリームソーダ、このセットを食べたい。本物のメロンは必要ない。 一度はメロンパンを枕にして朝に気づかぬまま眠ってみたい。一度はメロンクリームソーダを水筒に入れて出かけてみたい。春日和に吹く風、頭の上にメロンパンをのせ散歩する。 桜が咲いたあいつが泣いた月が満月、うるさいうるさい、メロンパンを食べたい。メロンクリームソーダが弾け溶け消える前に。 夕暮れグラスに透き通るようなオレンジ色が光った。鳥の影が雲に吸い込まれた。いちい

鍵の閉まる音

光る鳥が月の前を飛んでいた。自動販売機のボタンを押そうとした私は少しの間手を止めた。じっ…

吉田猿滑
4年前