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関西ホテレスにて#02

7月末よりインテックス大阪にて行われた関西ホテル・レストラン・ショー。この展示会は展示会業界ではコロナによって中止・延期になった展示会の「再開第1号」としての意味を持った展示会でした。

6月上旬に展示会の開催基準が日本展示会協会並びに大阪観光局より発表され、その「検証」を兼ねた展示会として位置づけられています。

開催から約1か月。日本の展示会は少しずつ動き始めている感があります。当社でも、しばらく止まっていた出展者様とのやりとりが再開を始めています。

ようやく再開が始まった展示会。出展者の方、設営会社の方、主催者の方々にとって今心配なことは、WITHコロナの展示会において、どのようにコロナ対策を施すのか、という点と、今の時期に展示会に出展して本当に効果があるのか、というところでしょう。その辺について、しばらく記載していこうと思います。

さて、まず今回は7月末に開催された関西ホテレスにおいて、当社がどんなブースを考え方かについてお伝えします。

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以前の記事にも記載した通り、当社では展示会ブースのコロナ対策として、下記の方針のもとにブースの検討を行いました。

出展社は、有田焼の器を扱う「尾崎陶器」様。1小間での出展です。

つまり、「集まってはいけない」しかし「結果を出さないといけない」という条件の下、オンラインを活用して「商談・接客の回数」を減らすことを目指し、単純にコロナ対策を行うのではなく、成果を出すことを念頭にいれてブース検討をするべき、という内容です。

そのような方針の中、今回の関西ホテレスのブースでは、下記のような対策を行いました。

1.事前対策

計画に当たって、まずは事前準備から。今回の関西ホテレスでは、コロナによって来場者が少ないことが想定されます。また、経済状況が悪化した状況の中で、「うつわ」を購入しようとする来場者が一体どのくらいいるのだろうかという点も疑問です。そうすると、一般的な製品の出し方をしたのでは、出展者成功しないだろう、という考えに至ります。

そこで、今回は、出展コンセプトとして、来場者であるホテル・レストラン業界の方々に向けて、「自社(店舗)の売上を上げるために、器をどう利用するか」という観点から、ブース内のレイアウトをまとめることとしました。

おそらく、これからの展示会出展においては、こういったコンセプトを明確にする動き、つまりターゲットを絞る、出展商品を絞る、メッセージを明確にするといった事前計画がかなり重要になってくると考えられます。

今回の出展コンセプトは、来場者の店舗での売上向上・他店との差別化のヒントになるような情報を知ってもらうこととし、「うつわによる差別化と売上向上手法の提案」という言葉を使用することとしました。その上で、展示スペースを4か所に分け、ブース内に配置することとしています。

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2.ブース計画-1|レイアウトの工夫を行う

展示会ブースのWITHコロナ対策として、ブース計画時にできる最も基本的な施策としては「レイアウトの工夫」が挙げられます。出展者同士が接触しにくい工夫、対面にならない工夫、動線が重ならない工夫などです。

しかしながら、1小間ブースサイズのような限られた大きさしかないブースの場合、かなり難しくなります。

そこで、今回の場合、「展示台を壁に向ける」ことで出展者同士が対面になることを避けるようにし、その展示スペースの幅を横幅約1m程度とすることで、1か所1か所のスペースに多くの人が集まらないようにしてみました。

また、通路際に置いた展示台だけは背面にスタッフ用のカウンターを配置しているために、飛沫防止として「オーガンジー(防炎処理済)」に社名を印刷したものを設置して、デザインと機能を兼ねた計画にしています。

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3.ブース計画-2|しっかり見てもらう工夫

WITHコロナ時代のブースは「集まってはいけない」という前提条件はあるため、極力「来場者自身で(出展者の接客無しに)展示台を見る」という状況が必然的に出てきます。

出展社がお声がけをしない、という状況は一見不利なようですが、出展者に声を掛けられない、という状況は、来場者にとって「じっくりと展示台を見ることができる」ということとも捉えられます。

今回の計画では、このことを積極的に捉え、展示台に段数を加えて展示台の上だけでなく、下にも「引出し」を設け、その他の商品を設置するようにしました。メインの商品はあくまでも最上段の商品ですが、その商品に関連するような商品等を下に設置することで、商品を深く知ってもらえるような工夫を施しています。

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上記の写真は「引き出し」の様子です。一見重さで落ちてしまいそうな印象ですが、構造上の工夫により、引き出したままでも安定するような仕様にしています。

4.ブース計画-3|オンラインを活用する

そうそう頻繁には来場者と接触をすることができず、接客の機会を減らすために各展示台を「しっかり見てもらう」工夫を施しましたましたが、それだけでは、成果が出るとは限りません。来場者にとってはやはり、出展者による解説はほしいもの。そこで、WITHコロナの状況下では「説明動画」が効果を持つようになります。

今回ブース内に4か所設けた各展示台には、タブレットを1台ずつ設置し、そこにはそこに置いてある商品を説明する動画を事前に出展者様に作成していただきました。この動画は動画制作会社に依頼してしっかり造りこむようなレベルのものでなくて大丈夫です。

この場合の説明動画は、会場でスタッフの方が説明する代わりですので、事前に社内で、スタッフが説明している様子を撮影します。つまり、画面の中のスタッフがブース内の商品を説明しているのです。

そこに出展者の方がいない代わりになればいいので、自社にてスマホで撮影したものを流す程度で十分OKです。むしろ、造りこんだものよりも、素人感が出ている方がよいかもしれません。

ただし、音が聞き取りやすいことは重要で、収録をする時や会場で音を出す時は聞き取りやすいような工夫が必要です。展示会での説明動画では、画質よりも音質が大切と考えてください。


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今回のブースでは、会場から離れた有田にある会社内の方とも商談ができるようにZOOMでのオンライン商談の場も設けておきました。会場には、スタッフさんが実際にはいるので、多くの機会はないとは思いますが、ブース内に1か所だけ設けておくことにしました。これからのWITHコロナ時代の展示会では、展示会後にはお客様とはオンラインで商談という形が標準になるかと思います。その観点からも、事前にオンライン商談の体制を構築しておくことは有益なことと考えています。


5.ブース計画-4|換気を行う

WITHコロナでのブース計画の中で、実際問題としてコロナ対策として効果的だと思うのは、ブース内の空気を循環させる換気になります。多くの会社が、ブース内でのコロナ対策となると商談席や案内カウンターにアクリルの衝立を設置することを考えてしまいがちだと思いますが、冷静に考えると壁に囲まれたブース内で、更にアクリルの壁があれば飛沫は防げても空気は滞留してしまう可能性があります。また、会場の喧騒の中で、マスクをし、アクリルの壁があると相手の声もよく聞こえず商談はスムーズにいかない可能性もあります。また、重要な商談の場において、目の前にアクリルの壁があることは心理的な障壁にもなってしまいかねません。これらの理由からできればアクリルの壁がなくしたいところ。

幸いにも展示会場は、天井高が高く、開放的な空間であることから、ブース内にサーキュレーター(扇風機)を壁面に取り付け空気を流動するようにするとかなり効果が期待ができるのではと推測されます。もちろん定量的に実験したわけではないので、実際のところは分かりませんが、コロナ対策の効果と、商談の成果の双方を考えた時に、この方法は有効な方法であることは十分に考えられることだと思います。

今回のこのブースでは、壁面の上部に回転するサーキュレーターを2台設置してブース内の換気を常時行うようにしました。

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6.WITHコロナ時代のブースとは

以上のように、今回の関西ホテレスのブースでは、当社として考えられるだけのコロナ対策を施しました。ポイントは、コロナ対策だけでなく成果も出す工夫も同時に考える、ということになります。

コロナという見えないものに対してどこまで有効なのかは、正直なところ分かりませんが、今回の計画を通して、今後のWITHコロナ状況下の展示会において、どこまでコロナ対策をすればいいのか、どこに気を付けて計画を行えばいいのかが徐々に見えてきました。

このことについては、次回以降の記事にて詳しく記載していこうと思います。

事前に、簡単に記載しておくと、「どこまでコロナ対策をブースに施すか」という点については、考え始めればきりがないことですが、「出展者に安心感を与える」という指針がまずは基準になるだろうと考えています。

もちろん、自社のスタッフが感染しないこと、その対策は何よりも大事です。形式的な対策ではなく、自社にて可能な限りのコロナ対策は行った上で、来場者の方々には「当社のブースはしっかりと考えていますから大丈夫ですよ」と感じてもらうような対策の仕方が大事なのではないかと感じています。その意味で、見た目にも分かりやすい「サーキュレーター」の設置などはコストも多くは掛からないこともあり、とても有効な対策の一つと言えると思います。

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