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この頃読んだ本をつらつらと


『法廷遊戯』五十嵐律人

法廷ものって複雑そうですが、合間合間に挟まれる法律についての説明が分かりやすく、起きていることの意味が掴めるので、迷うことなく楽しめました。
著者が弁護士だからこそ出来る書き方で、納得です。

本作は第62回メフィスト賞を受賞されています。
メフィスト賞と言えば、第1回が森博嗣さんの『すべてがFになる』ですが、直近で発売されたエッセイ『妻のオンパレード』の解説を五十嵐律人さんが書かれていました。
解説から森好きが溢れていて良かったです。


『任侠書房』今野敏

任侠の親分がとある出版社の社長になる、というストーリー。サクサクと読みやすいですし、本来なら怖くて近づきがたいはずの任侠メンバーが、どことなく愛嬌があり、キャラがたってます。

裏社会にいて表の会社に憧れがあるなんて、普通に生きていると感じることはありませんが、実際隣りの芝生は…というのもありますし、もし裏の世界にいなかったら?というのは考えたりするのかもしれませんね。


『ぼくと、ぼくらの夏』樋口有介

爽やかな風を感じる高校生たちのミステリー。
発売したのが、1988年で古い時代が舞台ですが、だから古臭いなんてことはなく、むしろ爽やかで青春あふれる気持ちいい1冊です。

読んだのは、寒い時期でしたが、タイトル通りに夏に読むとピッタリだったかもしれません。


『アンデッドガール・マーダーファルス4』青崎有吾

1.2.3と読み進め、既刊最後の4巻目も読了。
5巻はいつなのか?今年出るのか??と楽しみにしています。

4巻は短編集で、メインキャラ(鴉夜、津軽、静句)の3人の過去の話と、人魚を弁護する事件で構成されています。
特にメイン3人がそれぞれ主役になる短編は面白く読みました。3巻まで読んでいたからこその面白さです。


『妻のオンパレード The cream of the notes』森博嗣

毎年12月に出る100篇のエッセイ集。
昨年末から1日1.2編ずつ読んで、先日読み終えてしまいました。
以下は、読んでブックマークを付けていたものです。

・16 「奇跡の○○」と鳴り物入りで謳われていても、「奇跡的」でさえないものばかり。
・27 個人の力や能力によって、どれくらいのものが生産できるだろうか?
・49 人間は誰も、「仕掛け品」から始める。ゼロからのスタートという場合はない。
・50 スバル氏はいつも鼻歌を口ずさんでいて、その曲が気になってしかたがない。
・56 AIは答えることしかできない。

56で書かれているAIについての内容。
AIがハッとする質問をしてくるようになったら、今のAIレベルよりも更に先に進んだのだということ。生成AIもいろいろありますが、こちらからの指示を汲み取って反応してくるものの、疑問を投げかけてくるようなことはないので、いつかそういうやり取りができるようになると思うと、ちょっと楽しみです。


『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ

トゲのない暖かい世界観で描かれている小説。主人公の優子には父3人と母2人が存在するが、不幸な空気は微塵もありません。

現実にそういう知人がいたとしたら、その生い立ちを聞いて、大変そうだなと思ってしまいそうですが、本書を読んでいくと、そんな安易な想像はするものではないかなと。
最後にタイトルを回収していくグッドエンディングでした。


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