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濱口竜介という男

第80回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲得した濱口竜介監督。

コンペティション部門で正式出品された最新作「悪は存在しない」で銀獅子賞を獲得し、日本人では黒澤明監督以来の快挙となる世界3大映画祭制覇を果たした。

濱口竜介監督は「偶然と想像」(2021年)で第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得、第74回カンヌ国際映画祭では「ドライブ・マイ・カー」で日本映画初となる脚本賞を獲得していた。

建前でも謙遜でもないいたって謙虚な姿勢

濱口さんの言葉や姿勢には誠実さと力強さが伝わってくる。

記者の「今回は❝金❞が欲しかったんじゃないですか?」の問いに対し、

「コンペに選ばれるとも思っていなかったですし、❝金❞を取りたいという気持ちなど持っていないというのが正直なところです。」

さらに、「本当に、一番いいものをいただいた。これ以上の結果はないんじゃないか」と。

本心であることがはっきり相手に伝わる誠実かつ力強い喋り方。


NHK ベネチア国際映画祭 濱口竜介監督作品上映 観客から大きな拍手


遡ること2年前、「偶然と想像」で銀熊賞を受賞した時も、こんなことを言っていた。

「ここに来られなかったキャスト・スタッフの名前を伝えさせていただきます。古川琴音さん、中島歩さん、玄理さん、渋川晴彦さん、森郁月さん、甲斐翔真さん、占部房子さん、河井青葉さん、キャストの皆さんです。ありがとうございました。皆さんがこの物語を信頼してくださったので、今このような素晴らしい賞をいただくことができています」

朝日新聞デジタル 濱口竜介監督、銀熊受賞「言葉以上のもの見せてくれた」

15年前、東京芸術大大学院の修了制作「PASSION」が注目を集めた頃から全く変わらない。

そこが内外に彼が愛される理由だろう。

作品を作る上でも器用な芝居をする俳優を遠ざけ、あくまでも誠実で力強い演技を求める。

感情を抜いてセリフを何度も棒読みさせるリハーサルは、言葉自体が持つパワーを観客の心に直接注入してくる。

それが、日本語を解さない海外の人たちにも同じように伝わっているのだ。

元キネマ旬報編集長で映画評論家の関口裕子さんも何故彼の作品が海外の人々に愛されるかこう解説していた。

「『ドライブ・マイ・カー』もそうであったように、濱口作品はダイアローグ(対話)で物語が進む。それなのに、せりふがわからなくても映像だけで成立する」」

濱口竜介監督はなぜ、海外で評価されるのか

名実ともにまさに映画祭の寵児となった濱口竜介。
誠実かつ力強い彼の活躍からまだまだ目が離せない。

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