「気づくだけでもいい」は救いの一言だった。
人と人がすれ違ってしまうのは、とても小さな違和感からだと思う。
「なんか少しテンションに差がある気がする」とか「一緒にいて楽しいけど、ひとりになった瞬間にほっとする」とか。
最初は違和感をほんの数ミリのズレくらいに捉えている。「ん?」と思うけどそれほどは気にならない。
しかし違和感に気づくと、しだいにそのズレが大きく感じるようになる。相手との違いが気になって一緒にいるのが落ち着かなくなっていく。
それでも「話せば分かり合えるんじゃないか」と淡い期待を抱く。だって、今までは一緒にいたんだから。それならこれからも大丈夫だ。
そう自分に言い聞かせて、私は友人や恋人との関係を維持してきた。周りの人の手はできるだけ頼ってこなかった。当事者ではない人の力を借りるのは、ケンカした二人の仲裁に入ってもらうみたいで少し後ろめたいから。
自分でメンテナンスするのは大変だけど、大切な人たちとの関係はなんとか平和を保てている。
でも「なんとか平和」でこの先大丈夫なのだろうか。
そんな不安が膨らんでいたとき、パートナーシップを育てるサービス「yadorigi」のサービスリリースを読んだ。
ふたりで向き合い続けるのも少し疲れたから。間に立ってくれる人と一緒にこれからのふたりの関係性を見つめようと決めた。
この部分を読んで、見透かされたような気持ちになった。yadorigiが「頑張って向き合おうとしているのはわかってるよ」と言ってくれているような気がした。
ふっと肩の力が抜けた。「客観的な立場の力を借りてみるのも悪くないかも」と素直に思えた。
yadorigiでは「誰かとのパートナーシップを育むには、自分とのパートナーシップを築くことが重要」と考えているらしい。
私は大切な人との関係を「なんとか平和」からアップデートしたい。
だから自分とのパートナーシップから見直してみることにした。
***
パートナーシップを育てるサービス、yadorigiに行ってきました。今の状況で受けて本当によかった。セッションを通じて自分で蓋をしていた悲しみに気づいて、泣きそうになりました。
恋人に限らず、友人や家族、自分とのパートナーシップに何かしらの想いを抱える人はとりあえずyadorigiに行ってみてほしい!
……と言い切りたいところですが、私もサービスの詳細をよく知らないまま行くのは不安だったし、準備しておけばよかったと感じる部分もありました。
だから初めてyadorigiに行く人のために、私の経験したことや正直な感想を残しておこうと思います。
***
1.yadorigiとは?
対人関係の専門家との対話を通して、自分自身と大切な人とのパートナーシップを育てるサービスです。
「誰かとパートナーシップを育むには、まず自分とのパートナーシップを築くことが重要である」との考えから、ひとりでも受けられるサービスとなっています。
サービスはひとりで受ける45分コース・90分コースと、パートナーと受ける120分のコースがあり、オンラインでも受けることができます。
yadorigiのセッションの中では様々なワークが行われており、何をテーマに対話をするかで内容が変わります。
(yadorigi公式サイトより)
▼詳しくは公式サイトへ
2.申し込みからセッション終了まで
申し込みからセッション終了までの流れを紹介します。
1.公式LINEから申し込み
公式サイトから「公式LINEで相談する」で公式LINEを追加します。
こんなメッセージが返ってくるので、希望の日時とオンラインを希望するかどうかを返信します。
私は顔を見て相談したいと思ったので直接のセッションを選びました。返信するときにどんなことを話したいかも伝えたところ、「考えを深める時間が必要なので90分がよさそうです」との返事。オススメしてもらった通り、90分コースを体験することにしました。
2.セッション当日
予約した日時に公式LINEで教えてもらった場所に向かいます。到着すると、あったかい紅茶を出してくれました。落ち着く~。
セッションは以下の流れで進みます。
①yadorigi概要説明
担当の専門家の方に、yadorigiのサービスを説明してもらいます。
②話したいことを共有
どんなことを話したいと思ってきたのか、セッションを通してどういった状態になりたいかを話しました。
③セッションスタート (「不本意な現実を紐解くワーク」の場合)
不本意だと感じている事実を例に挙げて、自分の行動とその理由、理想と現実などを質問してもらいながら事実を掘り下げていきます。
④セッション終了
あっという間の90分。お支払いは振込みでとの案内がありました。
セッションが終わった後、yadorigiの公式LINEで次回以降のセッションでテーマになりそうなこと、私の状態に合うおすすめの映画を教えてくれました。
紅茶を出してくれたところからおすすめ映画を紹介してくれるところまで、yadorigiの細やかな気遣いが心に沁みます。
3.セッションの特徴
セッションは「自分の言葉がベースになる」ところが特徴だと思います。
例えば「不本意な現実を紐解くワーク」は、自分が不本意だと感じる事実を提示してワークが始まります。そのため、事実を自分の言葉で表現する必要があります。さらにセッションが進むと「行動の理由」や「理想と現実」なども自分なりの言葉で表現します。
専門家の方も考えこみすぎないように声をかけてくれるのですが、どの言葉を選んで表現するかは自分次第です。事実や感情をどれだけ解像度の高い言葉で表現できるかがそのまま自分の納得感に繋がります。難しく考えたり気取ったことを言おうとせずに、正直な想いをいつも通りの言葉で話すと腹落ちしやすかったです。
4.セッションでの気づき
恋人に限らず友人や家族などあらゆるパートナーシップでは、当事者ゆえに近すぎて見えていない部分があります。セッションではいつもいる場所から一歩引いて全体を俯瞰したことで、新しい視点を得ることができました。
私が不本意だと感じていたことは「相手と話すとき、見た目や性別が邪魔をして本音を言えない」ことで、その原因は「過去に上手くいかなかった友人関係」にあると思い込んでいました。
しかし、出来上がったワークの全体像を見たとき、大きな要因となるのは「真剣な話を避けてしまう親子関係」であることに気づきました。
自分で考えると、因果関係として結びつけやすい「それらしいもの」を原因だと決めつけてしまいます。無意識に本当の原因に蓋をしている可能性もあります。
だからこそ、yadorigiのサービスのように事実を客観的に見れる人の視野を借りて、俯瞰して見ることに価値があるように感じました。
5.もっと効果を高めるために
yadorigiは何も考えずに話すだけでも、時間を使って思考を整理する機会となります。ここでは、よりセッションの効果を高めるためにやっておくと良さそうと感じたことを三つ紹介します。
1.話したいことを準備しておこう
「当たり前だろ」というツッコミが聞こえてきそうですが、話したいことを整理しておいた方がいいです。
私は「これは行くしかない、ポチ!」と勢いでセッションを受けることを決め、そのまま当日をむかえてしまいました。そのため、話したい事は山のようにあるのに何をテーマにするかでとても迷ってしまいました。
ワークは基本的に自分が提示したことがテーマになります。ワークシートがあったり、考える内容を提供してくれるわけではありません。yadorigiは「考えることを提供する」のではなく「考え方を提供する」サービスと捉えるのが良さそうです。
当日までの準備としては、公式が提示しているワーク(不本意な現実を紐解くワーク、男性性と女性性のワーク、不快な感情の扱い方を考えるワーク)を参考にどんなテーマで話したいのかを具体的にしておくのがオススメです。
2.欲張らずにテーマを一つに絞ろう
「あれもこれも話せたらいいな~」と思ってしまいがちなのですが、扱えるテーマは一つだと思っていた方が良いです。
90分は思っているよりも短いです。45分はなおさら。自分が話した事象をどう捉えるか、話した全体像を見てどう感じているかなどを何回も深堀りしていくので、テーマがひとつでも足りないくらい時間がかかります。「あれもこれも」ではなく、「今一番考えたいテーマ」を持っていくことをオススメします。
3.勇気を出して話そう
対人関係の専門家とはいえ、初対面の人に自分のことを打ち明けるのは勇気のいることです。私も最初はちょっとこわくて、当たり障りのない話をテーマにしようかと思ってしまいました。
でもせっかく専門家に頼るなら、本気で考えたいことをテーマにしたいですよね。それなら、ぐっと勇気を出してテーマにしたいことを話してみるしかないと思います。
話すことができれば、後はワークの流れに乗って質問されたことに答えたり、言語化することに集中あるのみ。複雑な想いであっても、専門家の方と一緒に紐解いていくことができるはずです。
6.終わりに
yadorigiの概要から感想まで、私が行く前に知りたかったことを中心に記事にまとめてみました。ここまで書いたことを簡単にまとめますね。
1.yadorigiとは?
対人関係の専門家との対話を通して、自分自身と大切な人とのパートナーシップを育てるサービス。
2.申し込みからセッション終了まで
①公式サイトからLINEを友達登録
②LINEで希望の日時を伝える
③(オフラインの場合)決めた日時に伝えられた場所へ。
④話したいことを伝える
⑤セッションスタート
⑥セッション終了、お支払いは振込みで。
3.セッションの特徴
「自分の言葉がベースになる」
だから、正直な想いをいつも通りの言葉で話すと腹落ちしやすい。
4.セッションでの気づき
「俯瞰して見ることで、新しい視点を得ることができる」
他人の目線を借りることで、事実の捉え方が変わってくる。
5.もっと効果を高めるために
①話したいことを準備しておこう
当日迷わないように、話すテーマがどのようなものか具体的に考えておく。
セッションが始まったら、ぐっと勇気を出して話してみる。
②欲張らずにテーマを一つに絞ろう
90分も45分もあっという間。
今一番考えたいテーマに狙いを定めること。
③勇気を出して話そう
セッションが始まったら、ぐっと勇気を出して話してみる。
冒頭にも書きましたが、大切な人とのパートナーシップに対して何かしらの想いがある人はyadorigiに行ってみてほしいです。
セッションを通して新しい視点を得ることで、人と関わり合い方を見直す機会になると思います。
私も初回で自分の想いにとことん向き合えたので、次回は前回のテーマを踏まえてより深く事実を見つめてみようと思います。
yadorigiのセッションを通して事実と想いに向き合う時間を積み重ねていくことで、自分自身と大切な人とのパートナーシップをより強いものにしていていけそうな予感がしています。これからのセッションも楽しみです。
***
「ありがとうございました~!」
軽く頭を下げると同時に閉じたエレベーター。
ふーっ、と息を深く吐く。90分が終わった。泣きたいような、笑いたいような。変な気持ち。
yadorigiのセッションを受けて、不本意な現状は自分自身が作り出していること、友人とのコミュニケーションの歪みは親との関係における悲しみが原因になっていることを初めて知った。
「悲しかったんだ」と認識したとき、涙が出そうになった。自分の悲しみを認められないことを痛みとして抱えていて、ずっと苦しかったんだと思う。自分の感情に目をつむり、私は私自身ともすれ違っていたんだろう。
担当の専門家の方は「悲しみを親に伝えられたら、他の人とのコミュニケーションも変わるかもしれないですね」と言っていた。しかし同時に「不本意な状況を、自分が起こしていると気づくだけでいいんです」とも言ってくれた。
「状況を把握することで、少しずつ自分の行動が変わってくるだろうし、そもそも自分が感じている不本意な状況は変える必要がないものだ、と思う可能性だってありますからね」と専門家の方は続けた。
誰かとの関係性を変えるには、自分が行動を起こすしかないと思っていた。
でも、自らの行動をいきなり変えたら今までの関係性を崩しかねない。もやもやしていることよりも、失ってしまうことの方がこわい。
だから「気づくだけでもいい」は救いの一言だった。
すれ違いを感じたままのコミュニケーションは悲しいけど、心が伴わないまま無理やり行動を起こすのもつらいことだから。
今は焦らず、長い間失っていた悲しみを抱きしめてあげよう。
もしいつか話してみようと思える日がきたら、自分の気持ちを伝えてみよう。できれば、ゆっくり紅茶でも飲みながら。
自分とのパートナーシップと大切な人とのパートナーシップ。
どちらも心を込めて育てていきたい。
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