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不確定性を減らしていく。「正しいものを正しくつくる」市谷聡啓さん著

「正しいものを正しくつくる」というプロダクト作りに関する書籍を読んだので、要点をアウトプット致します!

アジャイル開発を用いて、プロダクト開発をどのように進めていけばいいのか、そもそもアジャイルとはなんなのか、筆者の体験を元に丁寧に解説されている良書です!


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この本では、アジャイルに作るとは「作ることを通じて学びを得る活動に他ならない」と主張されています。

SoR(Systems of Records、バックオフィスで使われるような情報を記録するシステム)のように仕様がきっちりと決められているものに関しては、ウォーターフォールで最初に要件定義(要求を要件に落として、不確定性を減らしていく作業)をする方法での開発が適しています。

一方で顧客との接触口となるSoE(Systems of Engagement)のように、作り始める段階で、だれも正解がわからない(顧客自身も自身の要求がはっきりしていない)システムの開発にはアジャイル開発が適しています。


アジャイル開発によるプロダクト作りが苦戦を強いられるのは、まさに、誰も正解を持っていないものを、それでも形にすることが求められるためです。


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アジャイル開発の価値と原則

そもそもアジャイル開発はドキュメントにすると、実に20ページにも満たない分量でまとめられる開発手法です。

アジャイル開発の洗練されたエッセンスは、以下に示した4つの価値と12この原則とまとめられています。


【4つの価値】

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【12この原則】

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引用)IPAによる、アジャイルソフトウエア開発宣言の読みとき方


しかし、理解が容易だからといって、実践するのも容易というわけではありません。

スクラムは経験主義(実際の経験と既に獲得している知識にもとづく判断によって新たな知識が得られる、という考え方)に基づいています。

そのため、アジャイル開発は開発を進めながら、学びを得て、それを将来の計画に反映させるという「曲芸」のような手法であり、知るのとやるのでは天と地ほどの差があるのです。


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アジャイル開発で乗り越えられない2つの不確実性


1. 暗黙的な期待を放置したままでは合意形成にならない

書籍の図をそのまま引用させていただくと、以下のようなマトリクスにまとめられます。暗黙的な期待の存在を捉え、共通認識にしていく活動、すなわち期待マネジメントが必要になります。

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2.不確定性への対処から得られる学びが新たな不確実性を生む

不確実性を減らす為に、成果物をリリースし続け、動くソフトウェアに価値を置くのがアジャイル開発です。

アジャイルな開発を行った結果得られた学びから、また新たな不確実性が生まれるという、ある種アジャイルの原則から生じる不確実性です。


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不確実性に向き合う術

不確実性と向き合っていく具体的な戦略、戦術、作戦に関して、書籍では以下のように説明されています。

したがって、人の期待をマネージしながら不確実性にもとづく学びに適応する術が必要になる。具体的には、「余白の戦略」「スプリント強度を高める戦術」「全体への共通理解を統べる作戦」の3本立てで向き合っていく。

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、、、気になる部分ではあると思いますが、ここは私がエッセンスだけ紹介するより、ご自身で書籍を読んで、自分のチームに適用できる部分を取り出していただくのが一番良いかと思います!


正しいスクラムで、正しいプロダクト作りを!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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