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弱音吐いた?

2024.07.15
ぺぎんの日記#101
「弱音吐いた?」


昨日は帰ってきて早々寝てしまい、予告なく更新をストップしてしまいました。すみません。

学祭、無事に終えることができました。
学祭準備期間、助けてもらった人の話。

「お!弱音吐いた?」
これが彼の口癖だった。
彼のことを、「弱音二キ」と呼ぼう。

彼は運動部のムキムキマッチョマンで、「弱音を吐いた奴から弱音二キにブチ◯されるらしい」という馬鹿なノリが、男子の中で流行り始めた。

わざと弱音を吐くと、弱音二キが寄ってきて「お!弱音吐いた?」とニッコニコで尋ねる。わざと弱音を吐いた奴は「ま、まさか!弱音なんて吐くわけがありませんよ!ヘヘッ…」と媚びへつらう。すると弱音二キは、「よかった!俺も無駄な◯しはしたくねえんだ!」と、ニッコニコで帰っていく。

まだこれが、男子のノリで起こっている間はよかった。

学祭準備期間も終盤に差し掛かってくると、もう息をするようにクラス中から弱音やうなだれの声が聞こえてくるようになった。

「うわ”ぁ”ぁ”あ”!」という悶絶の声や、「どうやったら間に合うのさー…」という悲痛な叫びが度々聞こえる。

そしてその声がするたび、弱音二キが飛んできて「お!弱音吐いた?」と尋ねる。一回マジでストレスの溜まってた女子に「ふざけないで」とキレられていたけど、それでも彼は私たちの弱音に「お!弱音吐いた?」と反応し、私たちの口から「吐いてない!」という言葉を出させてくれる。

「弱音吐いてない!」

その言葉を自分の口から出すことは、私たちにとってどれだけ重要なことだったか。今のは「弱音」、つまり誰にも押し付けることのできない不安から出た言葉ではない。今のは「どうやったら何とかなるのかを考えるための言葉」なのだ。そう自分に言い聞かせる。

まだやれる。まだ何とかなる。諦めの弱音なんかじゃない。未来への希望の叫びだ。

「うわ”ぁ”ぁ”あ”!」

弱音二キのおかげで、準備期間にあがっていた弱音は、最後には勝利の雄叫びに変化した。

まだいける。まだ、まだ。
そう思わせてくれた弱音二キに、もう一度、ちゃんと感謝を伝えたい。

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