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金曜お風呂の葛藤

2024.04.27
ペぎんの日記#27
「金曜お風呂の葛藤」


金曜日の夜のお風呂で湯船に浸かりながら、もうそのまま力尽きたくなってしまうときがある。
次の日が休日で早く寝る必要がないのをいいことにダラダラとお風呂に入っていると抜け出せなくなる。

疲れた。眠い。温かい。いい匂い。
お風呂という空間が好きだ。その日を振り返りながら、生身の自分とちゃんと向き合えている気がする。だから長風呂は体力的に苦手だけれど、お風呂には長くいたい。

そこまで温度の高くない湯船に浸かってボーっとしていると、身体表面の血液が温まって、それが全身に回って、だんだんと体温が高くなってくるのを感じる。そのままずーっと浸かっていると、風邪をひいたときのように全身がどんよりと重くなってくる。

お風呂が好きとは言え、いい加減出ないとヤバイぞと思う心と、もう動けないと主張する身体がせめぎ合う。そうこうしている間にも身体はどんどん重く、しんどくなってくる。身体を持ち上げようと努力するが、浴槽と洗い場を隔てる壁がやけに高い。

どんどん頭が回らなくなってきて、「早く休みたい心と、もう動けない身体の共通解は『お風呂で寝て朝を迎える』なのでは?」という訳の分からない結論が出てきそうになる。
「いやいや、それは流石にまずい」と、理性が判断できるうちに何とかお風呂を上がろうと最後の挑戦に入る。

浴槽の壁を掴み、腕に力を入れ、何とか立ち上がる。40度くらいの熱が出ているときのような全身の気だるさ。そこに後悔が乗っかって全身が鉛のように重い。

足を引きずってお風呂の扉を開き、外に置いておいたバスタオルを取る。冷たい空気が外から中にドッと流れるのを感じる。
その瞬間、大きな達成感と清々しさに安堵する。
「やった。私はお風呂から生還した。」

手に取ったバスタオルで全身の汗だかお湯だか分からない水分を拭い、服を着る。

お風呂上がりの工程を機械的にこなす。身体がだんだんと冷めてくる。心と身体がやっと連携を取り始め、思考は平静を取り戻す。

ドライヤーで髪を乾かしながら、ふとお風呂の方を見てみる。さっきまで私はこの箱の中で一体何と戦っていたのだろう。考えてみるとすごくバカバカしいのだが、先程まで真剣に戦っていた自分と今の自分は同じ私である。なんかフクザツな気分。

まぁ何はともあれ、今日も無事にお風呂から上がれたことに感謝しようと思い、ドライヤーを仕舞う。

やっぱり何ごとにも、もっとよい状態にするために超えなきゃならない悪い状態ってあるみたいだって気づく、金曜日の夜。


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