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スマホの電池が切れたと言って

2024.09.30
ぺぎんの日記#183
「スマホの電池が切れたと言って」


あまりに寒かったもんだから、「ごめんスマホの電池切れた」と嘘をついて、隣に座る友だちのスマホを覗き込んだ。バスの待合所。家に帰るためのバスを探して、2人で同じ画面を覗き込みながら「あぁでもないこうでもない」と話をする。

肩が触れてあたたかい。一緒に遊びに出ながらも、ここまで距離が近くなったことは初めてだと気づき、驚く。友だちもそう思っているんだろうか。

ちょっと嬉しかった。

あでも、勢いで「電池ない」と嘘をついたことには後悔している。帰りのバスに揺られながら、私は手持ち無沙汰である。隣で寝息をたてている、いつ起きるか分からない友だちの前でスマホは使えない。外は真っ暗。

出来心で嘘をつくもんじゃないね。

今は、私の肩に乗っている友だちの頭を、優しく支えるくらいしか、やることがない。私も眠くなってきてしまった。

降車まであと8駅。おやすみ。

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