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優しくなれない

2024.04.16
ペギンの日記#16
「優しくなれない」


今日の私は、多分優しい文章を書けない。

今日はなんだか、みんな私に優しくなかった。

昼休み、1年生教室に「演劇部入りませんかー」と勧誘に行った。
今日はいまいち反応良くなくて、結局部活動見学に来る約束をしてくれたのは数人。でも私にとっては大きな成果だった。みんなほど人は呼べなかったけど、頑張ったほうだと思う。そういう意味も込めて、部活の先輩に「どうだった?」と聞かれたときに「何の成果も得られませんでした!」と答えた。一緒に進撃の話で盛り上がったことのある先輩だった。先輩は笑いながら言った。
「新入生入らなかったら困るのはあんたらだからねw」
多分先輩に悪意はなかった。でも、やっぱり、先輩はそういう意識でやってるんだって思っちゃった。私だって私なりに頑張ってるのに。なんだよ、困るのはあんたらって。みんなでやってる演劇じゃなかったの。

春休み中、本を貸してた人に、早く返すように催促に行った。
「いつまで読んでるのー」
冗談半分で聞いたら、
「あwごめん返すの忘れてた。家探してみるわ」
と言われた。結構気に入ってる本だった。私の部屋の本棚にあったときは日焼けしないように、ホコリが溜まらないように。読むときはドッグイヤーがつかないように、他の本より少し丁寧に扱っていた本だった。
なんだよ、家探してみるって。どんな保存の仕方してるんだよ。私の大切な本なんだよ。長い間傷まないように読んできた本なんだよ。

自転車で家に帰る。
家まで12km。ずっと向かい風の一本道。行きも向かい風だったじゃんか。もうやめてよ。

家に返ってきて、ご飯を食べる。
家族のみんなは食べ終わっていて、私一人で食べる。食べ終わって、食器をシンクに持っていく。家族分の食器は洗われていた。が、まだ拭いていない食器が山積みになっていた。食べ終わった大皿と、私の食器を洗い、山積みになったすべての食器を拭く。
ご飯を作ってくれてるだけで有り難いことなのは分かってる。でも今日の私はダメだった。お前が拭けよと言わんばかりに積み上げられた5人分の食器に、悔しくて涙が浮かんできた。歯を食いしばって嗚咽をこらえながら食器を拭く。鼻の奥がうずく。水っ洟を止められない。中途半端な片付けするくらいなら、シンクに洗わないまま残しといてよ。忙しかったのかなとか、ちょっと同情するじゃん。洗うだけ洗って、拭いて片付けるのを任せるのって、それ嫌がらせじゃん。
やっぱり今日の私はおかしい。嫌がらせをしたくて、そんなになったんじゃないことくらい分かってるはずなのに。

きっと疲れてるのだと思い、お風呂に入って落ち着こうとする。
湯船につかる。目をつむる。10分くらい、ボーッとしてみる。
「おーいまだ出ないのー?ウチ入りたいんだけど」
妹が私ひとりの時間を切り裂いてきた。
「は?さっき『ウチもう入った』って言ったじゃん」
「何言ってんの。言ってないし」
「は?」
本当は知ってる。私は妹に「もうお風呂入った?」なんて聞いていない。口から出たでまかせだ。考える前に出てしまった嘘に、頭が勘違いしてキレてしまう。
「いいよ私がすぐ出るから」
あーあ、ほんとはこんな事言いたくなかったのに。
「何言っちゃってるの。いいよもう、ゆっくり入れば?」
最悪だ。最悪のお風呂だ。

お風呂から上がる。妹には謝れない。「早く入れよ」と、また口が勝手に滑る。部屋に入る。戸をしめる。今日の分のnoteを書かないとと思う。

ダメだ。今日は書けない。
もうハチャメチャな文章でも書いてやろうか。
一日最低800字と決めた過去の自分も、今日の自分に優しくない。サイテーだよお前。

まだ唯一救いがあるとすれば、私が私に優しいこと。私が私を責めだす日はもうホント地獄みたいな気分になるから、今日はまだ味方が1人はいることに感謝しないと。

自分を肯定できてるうちに、嫌だったことをひたすら書こうと決める。今日の悪者を決めて。お風呂のときの妹のセリフも、どんな会話をしたか記憶が曖昧だからちょっとトゲトゲした感じで書いてやろう。
あーあ、性格悪いな。

今日の分はこんなんでいいんじゃない?少なくとも日記らしいものを書いたんだから。

自分にはとことん優しいんだね。

自分に優しくするので精一杯で、他人に優しくするなんて出来ない私。

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