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アイネクライネで始まる1日

2024.09.29
ぺぎんの日記#182
「アイネクライネで始まる1日」


定期演奏会を間近に控えた吹部の自主練習の音が、学校中に響いている。

アイネクライネって、今まで恋愛の歌だと思っていた。でも、吹部が練習しているそのアイネクライネを聴いていると、曲の中に学校の情景が全て入っているような感覚にさせられる。

インスト。さすが米津玄師の曲というだけあって、音数が多い。楽器が奏でるその音の1粒1粒が、学校の喧騒に聴こえてくる。机のガチャガチャという音や、バスケのドリブルの音、靴が廊下と擦れる音など、本当はそんな音入っていないのだけれど、その音たちがデフォルメされて楽器から流れているような。そんなふうに聴こえてしまうのだ。何が要因でそう聴こえるのかは、分からないけど。

そして歌詞がある部分。もちろん歌う人を用意するわけにはいかないから、人の声にもっとも近いと言われているサックスが、本来人が歌うところをなぞる。何度も何度も聴いてきたアイネクライネだから、サックスが奏でるのは単なる音階のはずなのに、その奥に歌詞が聞こえてくるような感覚になる。

サックスが奏でる主旋律。その背景に流れる学校の音。この曲が、朝の学校と妙に調和しているように聴こえるのはどうしてだろう。

吹部が練習する、アイネクライネを聴いて始まる1日。いつもより心晴れやかな気持ちになっている気がする。

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