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自転車ライフ in Berlin

 この街に来た時から、ほしいなと思っていたもの。

 それが自転車。

 都内とは異なり、街全体に高低差が少なくかなり平坦なこの街は自転車で走ったらさぞ気持ちがよかろうと思っていた。しかも、大都市とはいえ、日本のそれとは規模が違い、あくまでもヨーロッパサイズの距離感だ。つまり小さい。街の端から端まで走っても25キロに満たない。このサイズ感、自転車向きだ。

 そんな思いとは裏腹に、ドイツ内の自転車価格は日本の市場の倍以上。倍ではすまないかもしれないくらいだ。一度買ったら一生大事にするくらいのドイツ人気質が自転車市場を凌駕している。安くても500ユーロ(8万円ほどか)、という価格がまた自転車選びを慎重にさせていた。

 そして月日はたち、ついに今年2月上旬。意を決して自転車を購入したのである。

 公共交通機関の夜間(22時以降)の本数が減ることが、生活スタイルに若干のストレスをもたらしていたことも大きな要因だった。

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 ということで自転車を得た今。天気の良い日に自転車で出かけるようになった。街の南北を中心部を抜ける形で走り、40キロ。2時間の行程はとても快適だ。スピード感、普段なら通らないような道を通ると色々な発見がある。

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(写真上:ベルリンのテレビ塔とマリーエン教会)

 今までなら、あのメトロに乗って、どこで乗り換えで、その後バスに乗って。。。などと逡巡するところが自転車ひとつで気の赴くままに移動できる快適さは、やはり格別だ。

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 この春はベルリンの壁があった場所(160キロ)を走ってみようかと思いながら、ベルリンの街の風を感じる。ペテルブルクにいるときは自転車なんてほしくもならないのに、ふとおかしくなった。不思議な街だ。

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 自転車で走りやすい理由の一つに、自転車道が整備されていることにある。自転車用のレーンが設置されているだけでなく、自転車用の信号機も至る所にあり、車の多い箇所でもストレスなく走れるのも魅力だ。自転車用の右折・左折信号に加え、左折レーンが分岐していたり、走っていると面白い。

 ひとつ難点は、自転車の盗難が非常に多い街なので、堅牢な鍵が必須ということだろうか。しかも複数の鍵。下手すると自転車と同じくらいの金額になるような鍵だ。重さも何キロもあるものを常備して走行しないとならない。(なにせ、ドイツ国内、プロの自転車窃盗団がいて30・40ユーロ程度の鍵ではものの2、3分で持っていかれてしまうそうだ。とられたら直ちに東欧諸国などに売られてしまい戻ってくることはまずないという。)

 とはいえ自転車のある生活は、行動範囲を広げたり移動の時間制約といったストレスからの解放だけでなく、ある種のスピード感で瞬時の判断をしたり、景色を眺めたりするという非日常を健康的に演出してくれる。

 こんなわけで、自転車にハマる今。つい時間があると地図をながめて、次はこの道を通ってみようなどと思う。

 自転車バンザイ。

(ベルリン ー 清水雄太)

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