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”保湿剤”の塗布は、新生児の皮膚バリア機能を下げ、食物アレルギーの発症リスクを上げる?|2024年4月17日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

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赤ちゃんへの”保湿剤”の塗布が食物アレルギーを引き起こす可能性 - 最新の研究から見えてきた関係

■ 食物アレルギーは、特に皮膚バリアが低下している、もしくは炎症を起こしている場合に、『経皮感作』を通して食物アレルゲンへ感作が起こり得ます。
■ Lackらの二重抗原曝露仮説は、食物アレルゲンへの感作は皮膚へさらされて起こり、経口摂取で免疫寛容が誘導されるとしています。

■ Lackらは、食物アレルギー予防のための3つの戦略を提唱しています。

1) 乳児期の湿疹の早期集中治療
2) 子どもの環境における食物アレルゲンの低減
3) 乳児の食事へのアレルゲン食物の早期導入

です。

■ 乳幼児からの保湿剤定期塗布によるアトピー性皮膚炎の発症予防研究に関し、アトピー性皮膚炎のリスクが高い乳児118人を対象としたランダム化比較試験は、アトピー性皮膚炎の発症を予防することが示されました。湿疹を発症した場合は、オボムコイドへの感作率が性が高かったという結果でもありました。

■ しかし、大規模におこなわれた新生児期からの保湿剤定期塗布によるアトピー性皮膚炎の発症予防研究であるBEEP試験やPreventADALL試験は、アトピー性皮膚炎の予防をせず、食物感作や食物アレルギーの予防はできませんでした。

■ さらに、生後3ヶ月から離乳食をはじめるというEnquiring About Tolerance(EAT)試験では、1303人の乳児を生後3年間観察し、保湿剤の塗布中に親の手と子どもが頻繁に皮膚接触することで、食物アレルゲンへの経皮曝露が増加し、食物アレルギーの発症につながる可能性があると仮定した検討を行い、『”保湿剤”塗布によりむしろアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症しやすくする可能性がある』という報告を2021年に発表されました。

■ この研究結果は議論を呼んだわけですが、その後、いくつかの注意点が指摘されています。

■ すなわち、『保湿剤』に注意が必要ということです。

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