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【日記】24年ぶりの再会

先日、大切な人と少し遠出をした。
それまで不安定な天気の日が続いていたが、その日だけは唯一の猛暑日で、久しぶりに青い空を見た。

小学校へ上がるのと同時に、私は今の土地へ引っ越してきた。
引っ越す前、私にはある目標があった。
それは当時住んでいた自宅近くにあった神社の橋を、一人で渡ること。
その橋は湾曲が激しく、6歳の私にはハードルが高くて、結局恐怖に負けて渡れずじまいだった。
24年越し、30歳になった私は、大切な人と一緒に、再びその神社を訪れた。

改めて見ても、それは激しく湾曲していて、30歳の私にとってもそのハードルは高く感じた。

一緒に行ってくれたその人の手を借りて、行きと、帰りと、橋を渡ることができた。

当時は母の手を借りながら、恐怖と共に渡った橋を、今回は、信頼する大切な人の手を借りて、幸福感と共に渡った。

恐怖がなかったといえば嘘になるけど、渡った後の景色は、当時とは異なり、とてもキラキラして見えた。「また一人で渡れなかった…」と、悔しい気持ちになっていたあの時とは違う感覚だった。

キラキラして見えたのは、できない自分を許せるようになったから?ううん、きっとその人と一緒に渡ることができたからだ。

子供の頃に母と見た景色を、大人になって、私は大切な人と見た。見える景色、感覚があの時とは違う。
どちらの私も幸せだったと思う。当時は母親の愛を感じて、今は恋人の愛を感じる。どちらも温かい。

その人と一緒に見る世界は不安がなくて、恐怖さえ和らげてくれるから不思議だ。

帰り際、入り口付近に【ご自由にお取りください】という説明書きと共に置いてあったもみじを、ひとついただいてきた。これから植えるのが楽しみだ。そのもみじを見る度に、私はその日の幸せな出来事を思い出すことだろう。

帰り道、車からたくさんの景色が見えた。

青空にかかる雲が、こんなにも綺麗だったなんて知らなかった。

遥か遠くまで見渡せるほど一面に広がる緑の平地が、同じ県内なはずなのに、まるで別世界にいるようでワクワクした。

今まで見向きもしなかったことへの「気づき」が得られるようになったのは、その人といるとなんだかホッとして、心にほんの少し、余白ができるからだろうか。満たされた心で見る世界は、どれもキラキラして見える。自分の心が温かければ、見る世界も受け取る言葉も、自分が触れる様々なことに温かみを増して感じることができる。

そう気づかせてくれたその人との出会いに、改めて感謝したいと思った。

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