番外編: 薬の飲ませ方あれこれ
病院の看護師や自分の家族と話していて、「こうやって薬飲ませるといいよ」と話すと、案外「そんなの知らない!」と言われることが多いのです。
服薬指導とか皆さんどうやってるんだろうと思いつつも、案外人のノウハウ知らないなあとも確かに思い、いくつかTIPSを紹介してみます。といってもすべて受け売りで、数々の薬剤師さんや、入院中のお母さんたちの工夫を使わせてもらっています。
お子さんがいる方でこんな方法もあるよ、という方は是非コメントを!
「お薬飲めたねゼリー」のTIPS
ヒット商品です。といいつつ、これでうまく飲めない、、という子も多い野も事実。製品のCMはこちら。
失敗で多いのは、散剤(こなぐすり)を直接混ぜてしまうパターン。何も考えずにゼリーと散剤を混ぜると、ゼリーの表面を散剤がコーティングする形となり、苦いゼリーができあがります。(粉薬をまぶしたゼリーみたいになります)
ひとつの工夫は、ゼリーで散剤をサンドイッチしてぱくっとさせることですが、散剤はなかなか量が多く、口に入れた瞬間に口の中でゼリーがずれて、結局苦い、ということになったり、小さい子どもさんだと一口で食べられるゼリーの量にならないということで結構手間です。そこで少し改良します。
① サンドイッチ法
散剤を粘土状に練って、ゼリーでハンバーガーのようにサンドイッチします。
それで咬まずに一気に「パクっとしてゴックン」とすると、良い感じにゼリーがコーティングしてつるっといけます。
この方法の弱点は、「パクっとしてゴックン」が理解できる年齢じゃないと難しい、という点です。そして、この方法が理解できる子どもさんは次の方も試してみてください。
② オブラートジュース タピオカ仕立て
ポイントは、「パクっとしてゴックン」です。
市販のオブラートに薬を包みます。オブラートの失敗は、これをそのまま飲ませることですが、オブラートはそのまま口に入れると、溶けてくっつき、ねばねばします。ぐずぐずしている内にオブラートがとけ、口の中で散剤が洩れて結局苦い、、、という事態になります。じゃあ、錠剤にしてもらえば良いという話になりますが、なかなか子どもさんの体重に併せた錠剤がないのも事実。
オブラートは水分を吸うと少し膨らんで、とろとろのゼリー状になります。この性質を利用します。
オブラートは少し贅沢につまり薬の周りにオブラートが何層にもなるように、少し薬の量を制限して巻きます。
最近は袋状のオブラートも市販されていますので、利用すると便利です。
↑ こんな感じのやつです。
そして、薬をまくとこんな感じになります。小さいタピオカぐらいの大きさです。
これをお子さんが好きなジュースにうかべてしばらくおきます。オブラート表面がつるっとしてきたら、飲み頃です。「パクっとしてゴックン」してもらいましょう。イメージはタピオカドリンクです。
これもタイミングが命で、ジュースを投入した後待ちすぎるとオブラートに穴が開き、ジュースに散剤が混入します。。。何度か試してコツをつかんでみてください。
③ お薬飲めたよゼリー タピオカ仕立て
小さいお子さんだと、ジュースの中に浮かべてしまうとそれはそれで食感が悪く、べーっと上手に出してしまい、出す途中で薬があふれて苦い!トラウマ!二度と口にしない、という悪循環になりますので、お薬飲めた世ゼリーを使ってみます。
こんな感じ。ジュースの時と同じように、ゼリーに浸し、オブラートがぷよぷよツルっとしてきたら食べ頃です。ゼリーで上手にタピオカ仕立てのを包んでパクッとしてもらいます。小さいこの多くはゼリーはかまずにゴックンしていますので、そのまま一緒に飲んでくれます。わが家はいつもこの方法です。
ちなみに市販のゼリーよりも、お薬飲めたよゼリーをおすすめしています。龍角散の回し者ではありませんが、、、。お薬飲めたよゼリーは、実はゼリー状のオブラートということで、上手にタピオカ仕立てのオブラートを包み込んでくれます。粉薬用のらくらく服薬ゼリーという商品も出ているようですが、私は使ったことがありません。使用感是非教えてください。
アイスクリームに混ぜちゃダメ?
よくやられる方法が、アイスクリーム、ヨーグルトなどに混ぜるという方法ですが、「ダメ」とはいいませんが、いくつか落とし穴があります。
① 乳製品とまぜると、配合が変化したり、甘いコーティングがとけてクス林が苦くなる薬が存在します。
② 完全に経験論ですが、「濃い」アイスクリーム(つまり安いアイスじゃなくて、ハーゲン●ッツみたいたお高い奴)じゃないと、味が隠しきれないみたいです。→ということで使うならおすすめは(ハー●ンダッツのチョコレート味)
③ アイスクリームが溶けるとコーティングと反応しやすくなりますので、溶けないうちに混ぜ込んで飲ませてしまうのがポイントです。
飲み合わせの味見表を利用する
いろいろな団体が、薬剤と食品の飲み合わせの味見表を公表してくれています。
このページがよくまとまっていますね。
https://sanin-kosodate.net/drug-compatibility/
最後に
苦い薬の代表格が抗生物質ですが、純粋に医学的な話をすると、傾向の抗生剤を使用する臨床状況というのは極々限られます。多くのお母さんが本来困るべき問題ではないのです。医療者側には適正使用が望まれます。
また、「風邪薬」は風邪を治す薬ではなく、あくまで症状を緩和するための薬で、いうなれば、咳止め、鼻水止めです。特に小さいお子さんでは、副作用も有り、飲ませる労力と、得られる効果に大きな解離があると思っています。つまり苦労して飲ませても思ったほど効果が実感できない、、ということです。このあたり説明すると割とお母さん方、「風邪を治す薬」がほしくて早めに受診しました!という方も多く、適正受診という意味でも、医療者側がきちんと説明をしていくことが必要だと思っています。
もう一つ。薬を処方して治療している気にならない、飲まない薬は効かない、というのは昔からいわれている金言です。若手の先生方には、いかに患者さんに薬を飲んでもらえるか、というモチベーション管理とノウハウの提供までできてこそ、薬の効果が得られるのだと自戒を込めてお伝えしたいですね。
小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン