スライド054

「救命の連鎖」と 事故予防

救命の連鎖

心停止患者あるいは心停止が切迫している患者を救命し、社会復帰に導くためには、

① 心停止の予防
② 早期認識と通報
③ 一次救命処置(心肺蘇生とAED)
④ 二次救命処置と心拍再開後の集中治療

の4つの要素が早期に行われることが重要です。

④ はいわゆる病院で医療従事者によって行われる「心肺蘇生とその後の管理」ですが、自己心拍の再開率(止まっていた心臓が動き始めること)や、社会復帰できるかどうかは、そこに到るまでにどれだけ質の高い一次救命処置(心肺蘇生とAED)が行われたかにかかっています。

「救命の連鎖」は、心停止患者あるいは心停止が切迫している患者を救命し、社会復帰に導くためには、上記4つの要素が、迅速かつ円滑に行われる必要があることを示しています。

「心停止の予防」の重要性

救命の連鎖に示されるとおり、一旦心臓が止まってしまった場合には、早期に認識し、居合わせた人が質の高い心肺蘇生を行った上で、救急隊に引き継いでいくことが大変重要です。

以前お話ししたとおり、心停止に到ってしまった場合の救命率は著しく下がることがわかっています。

このため、『改訂5版 救急蘇生法の指針2015(医療従事者用)』(へるす出版)では、心停止の予防の重要性が強調され、救命の連鎖の一つ目の鎖は「心停止の予防」になっています。

急性冠症候群(ACS: Acute coronary syndrome)など生活習慣病に伴う心停止をはじめとする、「疾病による心停止の予防」に取り組むことは大変重要です。しかし疾病に限らず、成人では窒息、熱中症、入浴関連死など、小児では外傷、溺水、窒息などの「不慮の事故」による心停止の予防の重要性が強調されています。

【参考文献】
日本救急医療財団心肺蘇生法委員会 監修
『改訂5版 救急蘇生法の指針 2015』(へるす出版)
    ※本文中「救命の連鎖」の図は本書からの引用

小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン