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インフルエンザ ③ その検査、信じますか?

いつの間にやら本日はクリスマス・イヴ ではないですか!?

今年はいろんな Life event がかさなりすぎて、全く落ち着かないのですが、一気に年の瀬感が、、、なんとかこのまま逃げ切りたい、と思っている中、さらなる荒波にもまれている今日この頃です。

さて、前回はインフルエンザの流行がない場合に検査を信じて良いのか?というお話をしました。

有病率 0.01% では

検査が陽性であっても本当にインフルエンザである確率は 0.3%
検査が陰性の場合、本当にインフルエンザでない確率は ほぼ 100%

ということでした。

さて、前回と同様

「夜間救急外来を受診すする小児」30 万人の集団
インフルエンザ迅速検査の感度 62%、特異度 98%

という前提で考えてみたいと思います。

インフルエンザが大流行している場合

インフルエンザが大流行しているとき、と考えると、どうでしょう、少なく見積もって 2 人 に 1 人がインフルエンザだとしましょうか。

つまり、有病率 50% です。

すると、

スクリーンショット 2019-12-21 21.50.35

ということになりますね。

感度と特異度を元に表を埋めてみます。

スクリーンショット 2019-12-21 21.52.42

これを元に

陽性的中率:検査が陽性の場合、本当にインフルエンザである確率
陰性的中率:検査が陰性の場合、本当にインフルエンザでない確率

を求めてみます。

陽性的中率 = 93,000 / 96,000 = 0.968 → 97%
陰性的中率 = 147,000 / 204,000 = 0.720 → 75%

これはつまり、

検査が陽性だったら 97 % の確率でインフルエンザである
検査が陰性の場合でも、25% の確率でインフルエンザである

ということになります。

クラスで大流行していることがわかっている場合は、有病率は 50 % よりも高くなるでしょうし、学校で全く患者がいなければ有病率はもっと下がるかもしれません。

クラスで大流行している、あるいは家族中発熱している、という状況の中で(つまり有病率がもっと高い条件で)、検査の陽性を確認する意味はどれくらいあるでしょうか? 逆に、検査陰性 を信じますか?

インフルエンザの検査の意義は??

さてここまで考えてくると、インフルエンザの検査をする意味って何なのでしょうか?

ここを考えるに当たり、明日以降、もう少し情報を提供したいと思います。


小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン