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中毒かも?と思ったら②

本日もマニアックに行きます。医療関係者の中でも好きな人は超マニアックに好きな分野です。ちなみに私はそこまでマニアックではありません(笑)

中毒診療の基本

昨日もお示ししましたが、中毒診療の基本の型は以下の通りです。

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で、安全確保と言われましても、、、ということになります。

われわれ医師がテロの現場に遭遇する確率は単純に考えても「一般人口が遭遇する可能性×医者の割合」ですから、そう多くないわけですが。DMAT などをやっていると、被災地で化学工場が爆発した、、、とかならそれなりに遭遇率は高そうです。

ゾーニング(Zoning)

化学テロ、化学災害の現場では以下のような区域分けがされ、その区域毎に必要な防護具が定められています。

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一つのポイントは「風向き」ですかね。我々医師は基本的にはウォームゾーン、コールドゾーンで活動することになります。

安全確保、という意味では「やばいと思ったら逃げろ!」というのが単純ですが一番有効で、ホットゾーンからどれだけ速く逃げられるかが肝だったりします。

個人防護具は様々なレベルがありますが、

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状況によってはこんなかんじで宇宙服みたいになりますので、現場活動で多数傷病者に対応するのはあまり現実的ではないともいわれています。(写真はhttps://www.risktaisaku.com/articles/-/2049?page=2より引用)

いずれにせよ、現場では警察や消防と協力して自体に当たることになりますので、彼らがどのような考え方で動いているかを理解するのは大切なことです。

病院においては、傷病者が運び込まれるエリア、除染(後述)するエリア、治療をする場所(病院内)など、現場と同様な考え方でゾーニングをします。

除染

毒物の汚染を極力落とし、本人への影響と周囲への二次被害を避けることを「除染」といいます。

基本的には

脱衣→即時除染→粗除染→専門除染

の線形アルゴリズムになりますが、まずは脱衣、即時除染でどれだけ中毒物質が除去できるかが勝負(つまり、効果は時間依存性)になります。

従来は拭いたり(乾的除染)、流したり(水除染)が主流でしたが、最近では除染ローション/クリームの仕様が提唱されています。


小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン