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「けいれん」は何故いけないのか?

昨日から遅めの夏休みを頂いており、家族で八ヶ岳に来ております。
やはり山は良いですねえ。紅葉に囲まれ、そしてホテルはハロウィーンの雰囲気で満載です。

ハロウィーンというと、私はどうしてもルイジアナ州で撃たれた高校生のことを思い出して今します。"Freeze" 、、、で思い出しますよね。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22294600W7A011C1000000/

先日お話しした論文でも、銃による死亡が非常に多いことをお話ししましたね。国の成り立ちから考えてもなかなか銃規制は心理的にも難しいのだとは思いますが、なんとかならないものかと、思っています。

さて、けいれんです。

「けいれん」って何がいけないんでしょうか?

「けいれん」に伴って起こること

小児で、てんかんとして管理されていて、けいれんのコントロールが両行で会ったお子さんが、高校生ぐらいになって、内服薬を自分で管理し始めた結果、飲み忘れが増え、おふろでけいれんし、溺水で運ばれてくる、、、ということをしばしば経験します。

意識を失うようなけいれんが、お風呂の中、プール、道路の真ん中、等で起これば当然、それに伴って外傷が生じる可能性があり、その外傷が致命的になる、ということがあり得ます。

逆に、そのような外傷が生じた場合に、けいれんによる意識消失が先行していないか?と考えてみることは非常に重要です。

といっても来院時に止まってしまっている「起こってしまったけいれん」はなんとも証明しようがないのも事実です。

「けいれん」が起こるとどうなるか?

発熱時に多い小児の「けいれん」の多くは熱性けいれんと呼ばれるもので、多くは予後良好といわれています。つまりけいれんそのものによる脳への影響はほぼありません。

けいれんが30分以上継続すると、けいれんにより脳障害が生じるといわれており、少なくとも、「けいれんは30分以内に止める」必要があるとされています。また、特に non convulsive seizure の場合、見た目だけではけいれんが判断出来ず、けいれんそのもの、あるいは二次性脳損傷により、脳損傷が潜在性に進行する可能性があります。

30分以上続くけいれんを「けいれん重積(status epilectis)」と 呼びます。

「けいれん」はいつから止めるべきか?

繰り返しになりますが、けいれんが30分以上継続すると、けいれんにより脳障害が生じるといわれており、少なくとも、「けいれんは30分以内に止める」必要があるとされています。

では、いつから介入を始めるか?というと、「30 分以内に止められるように介入する」というのが教科書的な記載であり、明確に定義されていないのが実情です。「けいれん重積」により脳障害を来す可能性がありますが、そもそもその定義が「30 分」なので、その時点から介入を始めたのでは遅い、ということになります。

このため、けいれん重積の定義そのものを短縮し、10 分、または 5 分とし、治療開始基準との整合性を図る動きもあるようです。ヒトにおけるけいれん発作は 5 - 10 分以内に自然に止まることが多く、それより長く続く発作は治療を行わなければ 30 分以上持続する可能性が高くなるため、治療の開始基準としては 10 分 または 5 分が適当である、という考えによるモノです。

確かに、救急車で来院してしばらく様子を見て、やはりけいれんが継続しているな、と判断すると治療介入を始めることが多く、この感覚は臨床的にも合致しています。

治療開始基準と、けいれん重積の定義の議論は分ける必要がありますが、10 分 または 5 分以上持続することを治療開始基準とする operational definition は妥当だろうと思います。実際、熱性けいれんガイドラインでは、「けいれんが5分以上続くこと」をoperatinal definition としています。

【参考文献】
熱性けいれんガイドライン 2015
https://www.childneuro.jp/modules/about/index.php?content_id=33










小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン